茂木崇(もぎ・たかし) ニューヨーク・メディア文化研究者
東京工芸大学専任講師。1970年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専門はマス・コミュニケーション論、アーツ・マネジメント論で、守備範囲はニューヨークの新聞、雑誌、出版、テレビ、デジタルメディア、広告、音楽、ブロードウェイ。共著に『コミュニケーションの政治学』(慶應義塾大学出版会)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
ニューズクレッドという、報道機関にデジタル上で新たな収入をもたらす企業が注目を集めている。
報道機関が世に送り出した記事を企業のサイトなどに配信し、配信料をニューズクレッドと報道機関とで分け合う――これがニューズクレッドの基本的なビジネスモデルである。
ニューヨークの同社でディレクター・オブ・マーケティングを務めるアリシアン・ランドに話を聞いた。
ニューズクレッドはシャフカット・イズラムが2人の友人と共に創設した。
イズラムはバングラデシュの外交官の家庭に生まれた。新聞を読むのが大好きな子供だった。ペンシルベニア大学でコンピュータ・エンジニアリングと経済学を専攻し、メリルリンチの技術担当スタッフとして6年働いた。
その後、ジャーナリズムを再生させることを目的として、2008年にこの会社を設立した。「クレッド」は「クレディビリティ(credibility)」の省略形である。
これまでは、企業は広告を出して顧客の注目を集めようとしてきた。これがデジタルの時代になり、企業は広告だけでなく、ソーシャルメディアを通じて顧客とエンゲージ(関係を築く)することができるようになった。
ランドは、ブランド構築を目指す企業は、thought leader、すなわちアイデアやビジョンを率先して提示する存在になろうとしていると語る。このため、企業はウェブサイトやソーシャルメディアで自社の製品やサービスについての記事を共有するだけではなく、より大きなブランドについての記事も共有するようになってきているという。
例えば、ペプシは、同社のウェブサイトに、エンタテインメントやポップカルチャーについて報道機関が執筆した記事をキュレートして掲載し、自ら執筆した記事も加えている。
ライフスタイルや文化の中に自社の製品やサービスを位置づけるようにしていかないと、
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