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すでに進んでいる米国の金融引き締め政策

量的緩和政策の手仕舞いで、ドル資金の流れが逆転していることを直視せよ

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 新しい年は、景気が良い年であって欲しいと、誰もが願うことだろう。ただ、その景気を展望するには、良くも悪くも、まずは目の前の現実を冷静に見定めることが必要だ。政策当局者なら、経済の実像を直視し、政策面で足りない面は補足する。企業経営者なら、景気の先行きだけではなく、政府の対応の影響を見定めることが大切だろう。

 2015年の経済の先行きを占う年明け早々の株式市場は、米国、欧州、日本などの先進経済圏だけではなく、中国などの新興経済圏でも、非常に不安定な展開を見せている。新年初めの10日間程度の展開で、今年の動向を語るのは時期尚早かもしれない。

 しかし、株式市場参加者が、経済見通しに関して、非常に精神不安定にならざるを得ない状況に入っており、それが株式相場の不安定性の増幅につながっているかのようである。

 世界の経済・金融資本市場を大きく動かす要因は何か。最近1年を振り返って見れば、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が、昨年初め早々から量的緩和政策の段階的な手仕舞いを始め、昨年10月末には完了したことが上げられる。

 購買力平価で評価したGDPの規模でみると、米国経済は中国経済の後塵を拝すようになったとの世界銀行の推計・予測が、最近では大きく取り沙汰された。

 しかし、表現は悪いが、米国は「腐っても鯛」である。第二次世界大戦後に、米国が主導して作り上げたドルを基軸とする国際金融の枠組みは、今も世界の国際貿易・国際金融・投資など世界経済の過半を支えるインフラである。この事実は、その重要性がユーロの台頭などで若干低下してきたとはいえ、依然として変わらない。

拡大

 したがって、米国の金融政策の変化は、国際貿易、国際金融・投資の世界を、依然として大きく動かす。その米国の金融政策の引き締めが、量的緩和政策の段階的な手仕舞いという形で、1年前以上から進展して来たのである。影響は大きい。

 米国の量的緩和政策の段階的手仕舞いを反映して、米国のマネタリーベースは、昨年初め以降から拡大ペースが低下しただけではなく、

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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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