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日本市場に攻勢をかけるアジアのLCC

吉川忠行 航空経済紙「Aviation Wire」編集長

 訪日客が増えている以外に、アジアのLCCが日本市場を攻める要因の一つが、オープンスカイだ。オープンスカイとは、二国間で就航する航空会社数や路線数、便数の制限を相互に撤廃するもので、日本は33カ国・地域と合意している。

 二国間の旅客や貨物輸送だけではない。「首都圏空港」と国が呼ぶ羽田と成田を除き、第三国へ旅客や貨物を積んで運ぶ、いわゆる「以遠権」の存在が大きい。例えばアジア諸国を出発し、関西空港に到着後、日本からの旅客と貨物を乗せて北米に向かうというようなルートだ。オープンスカイは国ごとに合意内容が異なるが、以遠権が行使できるものであれば、日本を経由して北米に向かう便も開設できる。

 例えばマレーシアのエアアジアXの場合はこうだ。日本とマレーシアは、2011年2月にオープンスカイに合意。2013年からは、首都圏空港以外の空港について、以遠権が自由化された。エアアジアXは2017年6月に、関西-ホノルル線を開設したが、週11往復運航しているクアラルンプールー関西線の一部を以遠権により延伸し、ホノルルへ週4往復乗り入れた。今年8月からは週3往復増便し、週7往復のデイリー運航になった。

 エアアジアグループのトニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)は、米国本土への就航を目標にしていると言われ、中部空港(セントレア)からは「ハワイへの路線を近い将来検討したい。機体を入手できれば、米国西海岸にも就航したい」(フェルナンデスCEO)と意欲を見せる。

 つまり、アジアから近い観光地である日本に就航するだけではなく、北米への進出も視野に入ったものだ。

タイ当局の安全懸念がクリア

拡大成田に乗り入れるノックスクート (筆者撮影)
 もうひとつは、2015年にICAO(国際民間航空機関)がタイ航空局に対し、「重大な安全上の懸念(SSC)」があると指摘したことだ。猶予期間を過ぎても十分な改善策が示されなかったことから、同年6月には問題点があることを示す「赤旗」をタイ当局に示した。

 これは訪日需要が旺盛な、タイの航空会社には痛手だった。ICAOが2017年10月にSSCを解除するまで、タイ国籍の航空会社は就航している定期便やチャーター便については運航を継続できるものの、日本をはじめとするICAO加盟国への新規就航や、増便などのスケジュール変更、機材変更などができない状況になっていたからだ。

 10月28日から、ノックスクートがバンコク(ドンムアン)-関西線を開設する。同社はタイのLCCノックエアと、シンガポール航空系LCCスクートが合弁で設立したLCCで、日本就航が遅れるという影響を受けた一社だ。彼らは、今年6月1日就航のバンコク-成田線から日本への乗り入れをスタートし、2路線目となる関西線をスタートさせる。

新鋭機で中距離参入するピーチ

拡大運用再開した関空第2ターミナルを出発するピーチのA320(筆者撮影)
 そして、航空機の航続距離が伸びているため、アジアと日本間ではこれまで就航が難しかった都市への路線も、実現可能になってきている。アジアのLCCによる攻勢を迎え撃つ日本は、どのような策を取るのか。

 国内初のLCCとして、2012年3月に関空を拠点に就航したピーチ・アビエーションは、中距離LCC事業に参入する。ここで使用する機材が、 ・・・ログインして読む
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筆者

吉川忠行

吉川忠行(よしかわ・ただゆき) 航空経済紙「Aviation Wire」編集長

1972年東京生まれ。音楽制作ソフトの輸入代理店に勤務後、2004年ライブドア(現LINE)入社。同業初の独自取材部門「ニュースセンター」立ち上げに参画し、経済・政治・社会分野を取材。2007年に退職後は仏AFP通信社等で取材を続け、2012年に航空経済紙「Aviation Wire」創刊。タイの航空当局が抱える安全性問題などをスクープ。

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