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温暖化対策は「負担」ではない。「ビジネス」だ

リーダー不在でも合意したCOP24。「決裂」は各国の選択肢になかった

山口智久 朝日新聞オピニオン編集長代理

「途上国の総代表」としての面目は保てた中国

 米国が特にこだわったのは、削減計画の報告の仕方だ。排出量が増えている中国やインドなどの新興国も、先進国と同じルールで報告するように求めた。

 これに対し中国は「途上国の総代表」として、自分たちには先進国とは違う緩いルールが適用されるべきだ、と主張していた。パリ協定にも「国の能力の観点から、柔軟性を必要とする途上国には柔軟な運用を認める」と書き込まれている。

 削減計画を報告するには、排出量を計測したり、新技術を導入したりしなければならない。そのためには人材や資金が必要だが、それを十分にそろえられない途上国もある。先進国と同じルールでは難しい、と中国は主張していた。本当は人材や資金が十分備えたとしても、先進国よりも緩いルールに甘んじていたいという狙いもあったのだろう。

 ところが、温暖化による被害に直面している低開発国や島国は中国と距離を置き、先進国と同じルールを求めた。これらの国も、中国やインドの排出増を懸念している。

 最終的に折り合った妥協案が、興味深い。ルールは一つにはするが、途上国には柔軟な運用を認めることにした。ただ、柔軟な運用をしたい途上国は、その期間や必要性を表明しなければならない、とした。

 こうしておけば、例えば中国が「柔軟な運用がしたい」と表明したら、先進国だけでなく、低開発国や島国からも「おいおい、それはないだろ」と批判される。一方、本当に人材や資金が苦しい途上国は、柔軟性を認められる可能性がある。

拡大COP24でパリ協定の運用ルールの採択後、中国の気候変動事務特別代表の解振華(前列左から2人目)が、EU代表と共に写真に納まった=2018年12月15日、ポーランド南部カトビツェ

 気候変動専門のニュースサイトCarbonBriefによれば、この仕組みを提案したのが米国務省に勤めていたベテラン交渉官だというのも、興味深い。

 最終的に、中国は受け入れた。最大排出国が追い込まれたとみることもできるが、「柔軟運用」の項目を残せたことで「途上国の総代表」としての面目は保てた。

 途上国への資金支援策については、今回も途上国の結束は固かった。しかし、求めていた増額は勝ち取れなかった。

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筆者

山口智久

山口智久(やまぐち・ともひさ) 朝日新聞オピニオン編集長代理

1970年生まれ。1994年、朝日新聞社入社。科学部、経済部、文化くらし報道部で、主に環境、技術開発、社会保障を取材。2011年以降は文化くらし報道部、経済部、特別報道部、科学医療部でデスクを務めた。2016年5月から2018年10月まで人事部採用担当部長。

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