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赤字続出の官製ファンド、真犯人は財務省だ

理財局長として産業革新機構設立を強く後押ししたのは、後に大物次官となる勝氏だった

大鹿靖明 朝日新聞経済部記者

積極的に設立を促した財務省

 各省が成算の乏しい官製ファンドをつくりたがるのを、財務省が抑制したという話は聞かない。むしろ積極的に設立を促してきた節がうかがえる。

 その背景事情にあるのが、財務省理財局の運用する財政投融資「産業投資資金」(産投資金)の運用先不足という問題である。産投資金とは聞き慣れないが、政府保有のNTT株やJTの株の配当収入や国際協力銀行(JBIC)の国庫納付金などを原資とし、それを財務省理財局がリターンを求めて投資するという仕組みだ。

 ただし、投資先は「政府の監督権限が及ぶ特別法で設置された法人」に限られ、「政策的必要性はあるのに民間の資金供給が不足しているものについて、民間に代わって公的財源を元手にして長期的なリターンを求めて投資する」という建前で行われる。

 しかし、こんな虫のいい投資先がそうそうあるはずがない。

 事実、産投資金の有力な振り向け先だった基盤技術研究促進センターは、バイオテクノロジーや新素材、ITなどの先端技術開発にかかわる民間企業や大学に研究開発資金を提供する名目で1985年度に設立されたが、「知的財産権の陳腐化するスピードが速く、実用化・商品化に成功して特許収入を得ることができなかった」(財務省)として、投じた2684億円を損失処理せざるをえなくなり、同センターは2003年に解散した。

 投じた資金に対して回収に成功した特許収入はわずかに30億円に過ぎず、大失敗に終わっている。この大失敗後、理財局は新たな投資先を探してきたものの、なかなか見つからず、ほぼ毎年のようにその年の歳入に見合う歳出がない状態が続いていた。資金が余っている状態が恒常化し、毎年度のように余剰分を一般会計に繰り入れてきたのである。

 当然、「もはや産投資金はいらないのではないか」「理財局から取り上げて、全額を一般会計に繰り入れるべきだ」とする意見が財務省内からわき起こるのも不思議ではなかった。

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筆者

大鹿靖明

大鹿靖明(おおしか・やすあき) 朝日新聞経済部記者

1965年、東京生まれ。早稲田大政治経済学部卒。88年、朝日新聞社入社。アエラ編集部などを経て現在、経済部記者。著書に第34回講談社ノンフィクション賞を受賞した『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』を始め、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』、『ヒルズ黙示録・最終章』、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』、『ジャーナリズムの現場から』がある。近著に『東芝の悲劇』。キング・クリムゾンに強い影響を受ける。

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