山口智久(やまぐち・ともひさ) 朝日新聞オピニオン編集長代理
1970年生まれ。1994年、朝日新聞社入社。科学部、経済部、文化くらし報道部で、主に環境、技術開発、社会保障を取材。2011年以降は文化くらし報道部、経済部、特別報道部、科学医療部でデスクを務めた。2016年5月から2018年10月まで人事部採用担当部長。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
年金の半分が住居費に消えていく。持ち家前提の住宅政策の転換なしに老後の安心はない
2019年度の年金支給額が実質的に抑制されることを、厚生労働省が1月18日に発表した。
世の中の景気はよく、賃金も上がって年金保険料収入は増えているのに、なぜ?と思われるかもしれない。理由は、少子高齢化だ。
年金保険料を払う働き手よりも、年金給付を受け取る高齢者が圧倒的に多く、その傾向はこれからますます顕著になっていく。十分な収入が見込めないなら、支出を抑えるしかないと、2004年の小泉政権時代に年金の大改革が実施された。
その時に導入した支出を抑える仕組みが、4年ぶりに発動されるのだ。
狙ったわけではないが、このニュースを伝える19日付朝日新聞朝刊のオピニオン面に「ニッポンの宿題 安心できる老後って?」を載せた。年金はもはや頼りない存在であり、高齢者の生活を支えるにはもっと住宅政策を議論する必要がある、ということを二人の研究者に解説してもらった。
高齢期の生活保障を考えるときに議論の中心になりがちなのは、年金である。ところが現場を取材していると、住宅政策こそ議論すべきではないかという思いになる。