大澤聡(おおさわ・さとし) 批評家、近畿大学文芸学部講師(メディア史)
1978年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、近畿大学文芸学部講師。専門はメディア史。出版産業やジャーナリズムの歴史的変遷を分析。デジタル時代の言論環境に関して提言をおこなう。文芸批評も手がける。著書に、『批評メディア論――戦前期日本の論壇と文壇』(岩波書店)など。Twitterは、@sat_osawa
もちろん、クロスチェック現象はこの時期にかぎらない。何度も反復されてきた。とくに、メディア環境の変動期に活況を示す傾向がある。2011年現在も何度目かのそうした時期に該当する。
「○○の××化」/「××の○○化」という定型表現。そのあとには次の文句が続くだろう。「××だからこそできることに取り組むべきだ。そうしなければ、××は消滅してしまう」。こちらもパターン化されている。だが、メディア間の連動はもはや大前提だ。この状況において、なおも特定メディアにのみなしうることなど想定可能なのか。たとえ想定できるにせよ、その範囲は大幅に縮減してしまっている。
必要なのは、各種メディアの本質を問いなおすことではない。そうではなく
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