2012年04月17日
大江賞はこれまで、劇作家でありながら小説も発表する岡田利規氏や、エンターテインメントの要素を持ち込んで読者を広げつつある中村文規氏、評論の安藤礼二氏らを選んできた。いずれも先鋭的な感覚を帯びた作品で、ここには、ユニークな才能を顕彰することで日本の文学界をなんとか活性化させようという大作家の愛情が感じられる。
綿矢氏は、史上最年少の19歳で芥川賞を受け、受賞作『蹴りたい背中』はミリオンセラーとなった。だが、寡作だということもあり、その後は数年に一度、新作を発表してもかつてほどの脚光は浴びなくなった。2011年秋に出た文芸誌「文芸」(河出書房新社)が「綿矢りさ特集」を組んでいたが、その中で綿矢氏は、書こうとしながらもなかなか作品に仕上がらない苦悩を語っている。
『かわいそうだね?』は昨年秋に刊行されたものの、各紙誌のインタビューや書評、年末回顧でも、必ずしも取り上げられなかった。
しかしながら、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください