勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
なぜ、日本の不倫は社会問題なのか?
前回につづき、今回も話題になった乙武洋匡氏の不倫騒動から、子のいる日本人男性の不倫という問題について、論じて行きたいと思います。
乙武洋匡氏の不倫に見る日本型結婚の闇(上)――妻に謝罪と不倫の原因を求める異常さ
このテーマについて様々な意見があがっておりますが、そもそも「不倫は個人の問題だから批判するのはおかしい」という声が一定数出ているようです。
ですが本当に個人の問題と言い切れるのでしょうか?
確かに、不倫という行為だけを見るのであれば、それは個人的な行いです。
フランスのミッテラン大統領が就任直後、女性問題について質問した記者に対し、「Et alors?(それがどうしたの?)」と答えたという話は有名ですが、政治家としての能力や仕事と不倫という個人的な行為は、評価される時には全く関係が無いということが理想的な状態です。
ですが、日本における乙武氏のようなケースでは、全く関係無いとは言い切れないのではないかと思います。
まず、前回の記事でも指摘したように、乙武氏は個人的な行為である不倫について、オフィシャルサイトという公の場で謝罪をしました。
乙武洋匡氏の不倫に見る日本型結婚の闇(上)――妻に謝罪と不倫の原因を求める異常さ
ということは、この時点で乙武氏自ら不倫の問題を個人的な問題ではなく、公の問題にしてしまっているわけです。
それゆえ、「不倫はプライベートの問題だから赤の他人が騒ぐのはおかしい」というのであれば、まず乙武氏に対して「不倫はプライベートな問題なのだから公に謝罪文を出すのはおかしい」と言うのが筋でしょう。
では、乙武氏がミッテラン大統領のように、「それがどうしたの?」という返しをしていれば、不倫は個人的な問題のままであると言えるのでしょうか?
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