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続・「男女共用トイレ」にひそむ盗撮の危険性

盗撮を容易にする環境を作ってはならない

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

フック型やペン型、置物型などカメラ10点が押収された=北見市拡大トイレに使われ、押収されたフック型やペン型、置物型などの盗撮カメラ=2013年、北海道北見市

女性身体に対する男性の欲望

 盗撮問題を考える際には、前稿にふれた男性の女性の身体に対する関心の強さ(それが後天的なものであれ先天的なものであれ)を、軽視すべきではない。携帯電話やスマートフォンの普及を背景とした、スカート内の盗撮事件がしばしば報道されるが、また最近、各種の職業人が――学校教員から警察官、医師、看護師、法務教官まで――が、職場の手洗い・更衣室等に盗撮器を仕かけたといった報道を目にするようになった(ちなみに各地の迷惑防止条例による盗撮の検挙件数は、『犯罪白書』によると2009年に1478件だったが、2014年には3265件に増えている)。

 これら盗撮の一部はインターネットでの販売が目的だったとしても、ひいては他の男性たちの女性身体への関心と結びついている。また一部はスリルを味わうために、達成感を得るために、あるいはストレスを発散するために等の理由で行われる場合もあるが、その場合でも、多かれ少なかれ当の男性の女性身体に対する欲望と無関係ではない。というより、それがあるからこそ、スリルの実感、達成感の獲得、ストレスの発散のために盗撮が選ばれるのである(杉田聡『レイプの政治学――レイプ神話と「性=人格」原則』、明石書店、61頁、106頁以下)。

 そして、一部はおそらくAV等のポルノにより作られたものだとはいえ、女性の身体に異常な関心をもつ男性も少なくない。その事実を軽視しないほうがよい。一例をあげる。

 びろうな話で恐縮だが、私はかつてある大学図書館の手洗いで個室に入ってしゃがんだ際、壁のちょうど目の前の位置が何かで彫られたような跡があるのを、目にしたことがある。

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筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

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