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少女の眼光に導かれ、民衆芸能の宝庫へ

徳島芸能聖地巡礼 その2

玉川奈々福 浪曲師

ライブハウスのトイレで運命の出会い

 前回、徳島にはまっている話を書きました。

 その第2弾です。

 徳島の滝のすばらしさ、そして人々やお茶や、食べ物の素敵さにすっかり魅せられ、なんとか若手浪曲師たちを引き連れて、ここで合宿とかできないかな~と漠然と考えていました。 

奈々福旅日記拡大CD「阿波の遊行」
 ある日。お仕事で、東京・代官山にあるライブハウス「晴れたら空に豆まいて」というところで浪曲をすることになりました。トイレに入ったとき、目の前に貼ってあったチラシに、ぎゅわーんと目が惹(ひ)きつけられた! なかなか存在感のある眼光鋭い少女が、上目遣いでこちらをぐっと見ている写真。そして、その脇に添えられたタイトルは。

 「阿波の遊行」……CDのチラシでした。

 私は亡くなられた俳優の小沢昭一さんのファンでした。いや、ファンというよりは、私淑しているといったほうが正しい。

 俳優としての小沢さんも大好きですけれど、『日本の放浪芸』このかたの、高度成長期に声もあげずに滅びていった、路上のさまざまな芸能を、小沢さんが現地を丹念に歩き訪ねて取材した記録は、浪曲師である私にとって大変ありがたく、貴重なものです。いま自分のやっている芸能の、ルーツへの想像力が、この記録を読み、聴くことで、かきたてられる。ただ、感謝しかないです。

奈々福旅日記拡大小沢昭一さん(1929~2012)。映画や舞台、放送と幅広く活躍し、大道芸、放浪芸の研究にも力を注いだ

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筆者

玉川奈々福

玉川奈々福(たまがわ・ななふく) 浪曲師

横浜市生まれ。出版社の編集者だった94年、たまたま新聞で浪曲教室のお知らせを見て、三味線を習い始め、翌年、玉川福太郎に入門。01年に曲師から浪曲師に転じ、06年、玉川奈々福の名披露目をする。04年に師匠である福太郎の「徹底天保水滸伝」連続公演をプロデュースして大成功させて以来、数々の公演を企画し、浪曲の魅力を広めてきた。

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