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つかこうへい作・演出のドラマが動き出す

1982年『つか版・忠臣蔵』てんまつ記③

長谷川康夫 演出家・脚本家

テレビ仕様、3段組みの「準備稿」

拡大『つか版・忠臣蔵』の台本。上下を3段に分けて画面、カメラ、台詞が記されている
 そんな38年前の「準備稿」が僕の手元に残っているのだが、改めてページを開くと、今になって様々な発見があり、思わず笑みが浮かんでくる。

 当時のテレビの台本は、横線で仕切られたページの上段3分の1が「画面」と標示されていて、そこが俳優の動きや情景説明などの、要するに〝ト書き〟部分。2段目が「カメラ」と書かれた細い空欄で、スタジオ内の複数のカメラ(それぞれに番号がある)のうち、どれがその部分を撮るか(いわゆるカット割り)や、そのときのサイズ、アングルなどを、現場で書き込むためのスペース。そして下段3分の2が「音声」となっていて、つまりそこに人物名と台詞が書かれているのである。

 これはバラエティ番組なども同じ形式で、テレビの世界ならではのものだったが、現在はもう姿を消し、一般的な映画や演劇の台本と同じように、シーンタイトルごとに、台詞とト書きだけが並ぶものになっている。バラエティや情報番組などでは製本された印刷台本などを作ること自体が珍しくなり、簡略化された横書きのメモのような進行表をコピーして束ねたもので、済ませてしまうのが大半だとも聞いた。

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筆者

長谷川康夫

長谷川康夫(はせがわ・やすお) 演出家・脚本家

1953年生まれ。早稲田大学在学中、劇団「暫」でつかこうへいと出会い、『いつも心に太陽を』『広島に原爆を落とす日』などのつか作品に出演する。「劇団つかこうへい事務所」解散後は、劇作家、演出家として活動。92年以降は仕事の中心を映画に移し、『亡国のイージス』(2005年)で日本アカデミー賞優秀脚本賞。近作に『起終点駅 ターミナル』(15年、脚本)、『あの頃、君を追いかけた』(18年、監督)、『空母いぶき』(19年、脚本)などがある。つかの評伝『つかこうへい正伝1968-1982』(15年、新潮社)で講談社ノンフィクション賞、新田次郎文学賞、AICT演劇評論賞を受賞した。20年6月に文庫化。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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