「3密」回避の個別・具体的な指示を
2020年11月19日
コロナ禍の「第3波」に全国が巻きこまれている。私が住む北海道では、ことに札幌市で、感染者数が急拡大している。
そのため鈴木知事は、北海道の警戒レベルを全道的に「3」にすえおいたものの(「2」を「3」に上げたのはまだつい先日である)、札幌市民に対して「4」に上げると、11月17日に正式に決定した。その結果、札幌市では、不要不急の外出自粛、道内他地域との往来の自粛が求められることになった(朝日新聞2020年11月18日付)。
だが不分明なのは、これに付された「感染リスクを回避できない場合」という条件である。無条件的な自粛要請ではない点は評価できるが、では「感染リスクを回避できない場合」というのはどういう場合か。
それは、「感染対策が不十分な施設を利用したり、いわゆる『3密』の状況になるなどしたりする場合」だそうである(朝日同前)。実際にはもう少し具体的な言及があるが、最後は「リスクが回避できているかどうかの判断は『(道民)自身で考えて』」もらいたい、というのが知事の立場である(朝日同前)。
けれどもこれは「対策」と呼べる代物なのか。結局道民に自ら判断せよと言っているだけである。だがはるかに重要なのは、知事がより直接的な仕方で行政権限を行使できる相手(各種事業者・施設)に、意味ある対応を求めることではないのだろうか。
なるほど道民への協力要請も重要である。だが、「感染対策が不十分な施設」が有ること自体が問題ではないか。道民に協力を要請する前に、まずそうした施設に対して、個別・具体的でより強力な指示を行うべきであろう。
一例をあげる。
私は10月初旬、ある「日帰りバスパック」で一日をすごした。目的は紅葉狩りである。現場近くのホテルでの昼食や露天風呂も魅力的で、「お徳」な日帰りツアーだと思った。
参加を決めたのは、コロナ対策がしっかり施されていると分かったからである。バス内では参加者が隣通しに座らないよう配慮してあり、また車内では「飲食お断り」とされていた。飲食と言っても、ここではアルコール類を想定しているのであろう。アルコールが入れば、つい人は大きな声で話すものであるから。
だが、コロナ対策は結局不十分だった。バスは特急列車などと比べて窓の開閉は比較的容易であり、したがって「密閉」を避けるために重視される換気もしやすいはずである。だが、バス内は空気が滞留して蒸し暑く、上着を脱がなければならなかったのは、対策が不十分だったためと思われた(ちなみに事情があって翌日、同じルートを走る市内バスに乗車したが、その車内では、前日より陽が射していたのに、換気のおかげで多少の肌寒さを覚えるほどだった)。
しかも、バスツアーの一環である近隣ホテルでの昼食時には、対策の不十分さが明らかだった。会場が
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