「良かったわー」
映画『トップガン マーヴェリック』のエンディングロールの最後の文字がスクリーンから消え、館内の照明が付いた瞬間に、隣からその声は聞こえてきた。声の主は大学生くらいの男性グループ。映画が始まる前にポップコーンをポリポリ食べており、集中して映画を見たいと思っていた私はその音に少し「イラッ」としていたほどだった。
その「イラ」は、「良かった」の一言で吹き飛んだ。前回論座(「トップガン再来、トム・クルーズが同世代の私たちに言いたいこと」)で私自身の感想は散々書いた通りであるが、トム・クルーズと同世代の私たちには面白い以上の何かをもたらすであろうことは容易に想像できる。
『トップガン』再来、トム・クルーズが同世代の私たちに言いたいこと

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しかし、20歳前後の若い世代にも「良かった」と言わせるとは? と思わず、隣の彼らに「面白かったですか?」と尋ねてしまった。「面白かったっす」とすぐに返事が戻ってきた。聞けば(見るのは)「3回目」だという。
ネット上にも同じように若い世代から「すごい」という声が溢れている。そして、異口同音に「映画館で観るべき」と言っている。「今まで生きていて一番心に残る映画だった」という20代のコメントには逆に驚いたほどだ。
一作目も知らず、誘われても気乗りせずついて行っただけだが見事にハマった。映画の中に入りたい!!とどれだけ思ったか! 今まで生きてきて一番心に残る映画だった。初めて同じ映画を2回以上見に行った。(一部抜粋)
そうか、こんな若い世代にもマーヴェリックは響くのか……と思うと同時に、これは私が20代のときの初代トップガンを見たときの感動と瓜二つでもあった。初めて同じ映画を複数回観た映画──それがトップガンであったことも思い出された。今回は初代トップガンを知らない若い世代にも響くものは一体何かという別の視点で考えてみたい。