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現実を鋭く、愉快にえぐるーー高校演劇全国大会【上】

3年ぶり平常開催、現代演劇の多様性のショーケース

工藤千夏 劇作家、演出家

コロナで失われた時間や思いは取り戻せるか

 北海道大麻高等学校『Tip-Off』、岐阜県立岐阜農林高等学校『衣』、愛媛県立松山東高校『きょうは塾に行くふりをして』は、いずれもコロナによって喪失したものを見つめ直し、それを取り戻すべく奮闘するドラマである。

 コロナ禍の2年半という時間は、高校生にとって大人が考えるよりずっと切実で、その諦念の闇は深い。未来にどう踏み出せるのか、皆、一様に不安を抱えているように見える。それをどう表現するか。3作は見事に方向性が違った。

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筆者

工藤千夏

工藤千夏(くどう・ちなつ) 劇作家、演出家

ニューヨーク市立大学大学院演劇科修士課程修了。1992年「青年団」入団、2003年より演出部に所属し「うさぎ庵」を主宰。代表作に『コーラないんですけど』、『真夜中の太陽』(原案・音楽:谷山浩子)など。青森市を拠点にする劇団「渡辺源四郎商店」のドラマターグ。日本劇作家協会評議員。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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