▽筆者:浦野直樹
▽この記事は2010年5月12日の朝日新聞朝刊に掲載されたものです。
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この事故は、製品の出荷時には欠陥がなかったのに、パロマとは資本関係のない契約修理業者が不正改造したために引き起こされた。半田靖史裁判長は、ガス器具は利便性の半面で生命への危険を伴うと指摘。「消費者が安全に使い続けられるように配慮が求められたのに、対策を怠った被告両名の過失は軽視できない」と述べ、ガス器具のような製品を扱う企業の責任者にはより重い注意義務があることを示した。
問題の湯沸かし器は、安全のため、電動の強制排気装置が作動したときだけ点火して湯が出る構造だった。ところが、判決によると、点火不良への応急措置として安全装置を作動させずに点火する「短絡」という改造が横行。一酸化炭素中毒による死傷事故が各地で相次いだ。判決は「欠陥」とまでは言わなかったが、簡単に改造できた点で製品にも問題があったと認定した。
そのうえで、小林元社長らが05年の死傷事故の発生を事前に予想(予見)できたか▽死傷者が出る結果を避ける対策を取ることができたか、を検討。元社長らは、それ以前にあった同種の死亡事故について報告を受けており、改造された機種がほかにも残っている可能性があることを認識できた▽点検・回収も可能だったのに、こうした抜本的な対策を怠ったことが今回の事故を招いた、と結論づけた。
弁護側は「パロマ系修理業者に、改造しないよう指導していた。一部のガス会社とは対策も練っていた」として無罪を主張。しか
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