2012年01月25日
▽筆者:千葉雄高
▽この記事は2012年1月12日の朝日新聞に掲載されたものです。
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11日午前10時すぎ、神戸地裁101号法廷に裁判長の声が響いた。「被告人は無罪」。次男の昌毅さん(当時18)を亡くした神戸市の上田弘志さん(57)は顔をゆがめ、天を仰いだ。「ムザイ」「会社はよくならない」。手元のノートにペンを走らせた。
JR宝塚線脱線事故で業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長、山崎正夫被告(68)の裁判は、一昨年12月の初公判から28回すべて傍聴し、山崎前社長やJR社員ら証人の言葉や表情を大学ノートに詳細に記した。
この日は開廷前に「有罪 執行猶予」と記し、猶予期間の数字を書き入れる欄を空けておいた。裁判長の判決文の朗読が続く。それを写しながら途中、所感を大文字で書きなぐった。「なっとく出来ん」「死ぬまでJRとたたかう」
ほかの遺族3人とともに臨んだ記者会見では「(亡くなった)子どもに何と報告していいか分からない」と力なく言った。自分が話す時以外は終始うつむいたまま。時折、唇をかみ、質問を受けるとノートをめく
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