三浦展(みうら・あつし) 三浦展(消費社会研究家、マーケティングアナリスト)
消費社会研究家、マーケティングアナリスト。1958年生まれ。一橋大社会学部卒業。情報誌『アクロス』編集長や三菱総合研究所主任研究員を経て、消費・都市・文化研究シクンタンク「カルチャーズスタディーズ研究所」主宰。著書に『「家族」と「幸福」の戦後史』『下流社会』『ファスト風土化する日本』『シンプル族の反乱』『マイホームレス・チャイルド』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
三浦展
有楽町西武の跡がルミネになることが有力になったようだ。これはまさに今の時代の消費のトレンドを示している。
私が最近1都3県在住の20~39歳の女性を対象に行った「現代最新女性調査」(調査会社:株式会社ネットマイル)によると、洋服を買う店としては、ユニクロ52.9%、駅ビル(ルミネ、アトレなど)42.3%、ショッピングセンター35.1%、その他(丸井、パルコ、109など)33.4%、百貨店29.9%、アウトレットモール28.8%となっている。百貨店より駅ビルや郊外のショッピングセンターが人気の時代なのだ。
居住地別に見るとこうした傾向は郊外部でさらに顕著であり、たとえば横浜市・川崎市以外の神奈川県では、百貨店は18.9%しかない。千葉県、埼玉県の住民はショッピングセンターがそれぞれ45%ほどもある。では百貨店が人気の地域はないのかというと、当たり前だが、東京23区の都心から西南部に居住している人は百貨店が45.6%と多い。
つまり、百貨店は、最もベーシックな顧客である東京の山の手地域居住者には人気だが、その他の地域の人びとには不人気なのである。
ただし、都心・西南部居住者も駅ビルは47.2%と、百貨店よりわずかだが多い。これはなぜかというと、都心・西南部に住む女性は正社員で未婚のひとり暮らしが多いからだ。彼女たちは、年収は多いが多忙である。アフターファイブも残業であって、買い物をするにも駅の上の方が便利なのだ。