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対策をコスト、と考えるのではなく

伊藤智章

伊藤智章

 厚生労働省によると、自殺やうつ病による経済的損失は単年度で2兆7千億円にのぼる、という。自殺やうつ病を無くせば、国内総生産(GDP)が1兆7千億円引き上げられるそうだ。

 これは自殺対策、うつ病対策を促進するための試算だ。でも人の命をカネではかる発想には嫌悪感が先に立ってしまう。意地悪くいえば、こんなにも失われるカネは惜しいから人を生かそう、という趣旨なら、損失が少なければ死なせてもいいのか、ということにならないだろうか。

 みもふたもない意見と承知して言えば、精神医薬産業の今日の隆盛はどうなるだろう。今回の試算でも「うつ病患者がなくなることによる医療費の減少は2971億円」とあった。逆に言えば、自殺者やうつ患者の存在は、医薬の業界にはカネの問題だけでいえばプラス、と言えなくもないではないか。その分を差し引いても人を生かした方が得、という子細な計算もできるだろうが、どんどん訴える力が弱っていく。 ・・・ログインして読む
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筆者

伊藤智章

伊藤智章(いとう・ともあき) 

朝日新聞宮古支局長(岩手県)。1960年生まれ。88年入社、名古屋、東京社会部などを経て、05年から論説委員(名古屋在勤)。名古屋報道センター員兼論説委員を経て、11年6月から現職。東海3県の行政、事件、裁判関係の論説記事を担当。水問題を中心とする環境、自殺問題などについても執筆。共著に『ドキュメント官官接待』など。

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