松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター
ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
松瀬学
まず(1)について、朝日新聞の報道が事実とすれば、巨人はドラフト会議の趣旨である戦力均衡をないがしろにしていたことになる。すなわち球界全体で一緒に繁栄していこうという「リーグ」の根本原則を無視し、潤沢な資金力を基に有力新人を集めていたわけだ。
ただ、これがルール違反かどうかは別問題である。通常、ルールというものは違反すれば懲罰を受けることになる。当時、球界には新人選手の契約金の「最高標準額」の申し合わせがあった。これを朝日新聞が「上限」ととらえ、巨人側は「目安」だったと解釈している。多かれ少なかれ、他球団も最高標準額を超えていたとみられ、罰則を伴ったルールの「上限」ではなかったようだ。
親しい弁護士によれば、むしろ特別な理由なく、契約金に上限を設定すれば、自由競争を妨げる「カルテル」とみられる可能性もある、と指摘する。つまるところ、巨人の高額契約金は社会常識からは逸脱しているけれど、法律には抵触していないことになる。
(2)のほうが深刻である。弁護士によると、極秘情報を外部に流した幹部は
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