河合幹雄
2012年11月01日
もう少し詳しく説明しよう。誤解を恐れずに言えば、冤罪は、これまでもあったが、その対象となる人は、「疑われやすい人々」であった。捜査が暗礁に乗り上げたとき、この付近でこんなことするやつは、こいつらだろうという目星をつけて、「オマエダロ」と尋問して自白させるのが、これまでの冤罪パターンであった。したがって、冤罪被害者は、素行不良の例が少なくなく、一般の人々にとって、これは自分たちの危機とは感じられなかった。今回の冤罪被害者たちは、夜遅くに繁華街をうろついたり、悪い連中とつきあったりしていたわけではない。それなのに疑われたのは、IPアドレス追跡の結果だけであった。
関連した要素をさらに検討しておこう。誤認逮捕と報道されているが、問題は誤認逮捕にあるわけではない。大きく報道されることがないため、誤認逮捕はこれまでなかったと誤解されていると感じる。統計はないと思うが、
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