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上がったゲームスピード、称賛に値するサントリー

松瀬学

松瀬学 ノンフィクションライター

 ラグビーのトップリーグはこのほど、サントリーの初の全勝優勝による2連覇で幕を閉じた。リーグ発足10年目の節目の年。海外のトップ選手がチームに加入するなどもし、試合のレベルは年々、アップしてきた。

 なんと言っても「ゲームスピード」が格段に上がっている。プレーオフ決勝のサントリー×東芝はともに持ち味を出し切り、ボールがめまぐるしく動いた。とくに『超攻撃ラグビー』を掲げるサントリーは素早いリズムでパスをつないで、果敢にフェーズ(局面)を重ねていった。その際の意思統一とブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)の強さ、パスプレーの精度は称賛に値する。

 度重なるルール改正もあり、世界のラグビーはよりテンポアップしていく傾向にある。決勝の笛を吹いた平林泰三レフリーの分析によると、自身が担当したTL(トップリーグ)の試合のボールリサイクルスピード平均が「3秒ちょうど」だったという。リサイクルスピードとは、タックルが起きてからボールが出るまでの時間を指す。ニュージーランドや豪州、南アフリカなどの南半球のテストマッチ(国別対抗戦)が平均で「3・7秒」、イングランド代表の試合のそれが「4・2秒」というから、TLのスピード、テンポは相当はやいことになる。

 日本代表の強化にはトップリーグの充実が不可欠と、サントリーの大久保直弥監督は説明する。「(世界で戦うためには)とにかくボールをはやく動かしていく。そのためには人がはやく動かないといけない。(接点での)フィジカル勝負でも勝たないといけない」

 パスをつないで攻め続けるためには、強じんな肉体(フィジカル)と体力がいる。つまり「ストレングス」、実践的なからだの強さ・パワーである。サントリーや東芝ほか、パナソニック、神戸製鋼も、プレーオフ(ベスト4)に勝ち残ったチームはどこも、ストレングス強化に努めてきた。裏を返せば、そこが弱いと上にはいけないのである。

 リーグのMVPに輝いたジョージ・スミス(サントリー)はかつて豪州代表で110キャップ(国別代表戦出場数)を誇る。そのスミスが「TLのレベルは高い」と言う。ラグビーはまず接点勝負。ここでのぶつかり合い、ブレイクダウンでの技術、力強さも年々、アップしており、日本代表ロックの大野均(東芝)は「テストマッチで海外のチームとやっても、TLとの圧力差はあまり感じない」と言い切るまでになった。

 TLのレベルアップの証左として、パナソニックのSH田中史朗、フッカー堀江翔太、東芝のFLマイケル・リーチの3人が世界最高峰のスーパー・ラグビーのクラブに移籍することになった。日本からは初めてのことだ。

 なぜ、TL選手のストレングスが上がったかのというと、日本代表の水準が上がったからである。エディー・ジョーンズヘッドコーチは「世界一の

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筆者

松瀬学

松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター

ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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