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経験不足と決断力不足を露呈した侍ジャパン

松瀬学

松瀬学 ノンフィクションライター

 このスタッフとメンバーでなら、侍ジャパンの3連覇がついえたもの仕方なかろう。第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝トーナメント準決勝で、日本はプエルトリコに1-3で敗れた。前回WBCとの違いは日本人大リーガーの不在、すなわち「経験値」が低かったからだ。

 その試合の8回、日本は1死1、2塁で痛恨の重盗ミスを犯した。2塁ランナーの井端弘和(中日)が盗塁を取りやめたのに、1塁ランナーの内川聖一(ソフトバンク)が走ってタッチアウトとなった。この緊迫した場面で、ベンチの「グリーンライト(行けたら行け)」のサインはなかろう。あまりに無責任。非難されるべきは、内川ではなく、サイン徹底不足の首脳陣である。

 もっとも、この重盗ミスより、7回までに0-3とされていたところに問題がある。なぜ先発が国際経験の乏しい前田健太(広島)だったのか。3連覇を狙うなら、この準決勝が最大のヤマ場となる。日本ラウンドと比べると、緊張感も違ってくる。案の定、四球を連発し、1点の先行を許した。

 このマウンドに送るべきは、調子が悪くとも、前回WBCを経験している田中将大(楽天)ではなかったか。この準決勝の起用からローテーションを逆算して、1次、2次ラウンドの先発を組んでいくべきであった。大舞台でものをいうのは経験値である。

 ついでにいえば、日本の2番手の左投手は、メンタル面の弱い能見篤史(阪神)ではなく、前回WBCメンバーで、米国野球経験のある苦労人、山口鉄也(巨人)ではなかったか。

 つまりは昨季の成績や直近の良し悪しではなく、経験重視ということだ。日本と比べ、米国の球場のマウンドは赤土で硬い。気候もコトバも生活環境も違ってくる。1次、2次ラウンドのようにホームアドバンテージはない。ここでいつものピッチングを行うためには経験がいるのである。

 どうしても今回は日本人大リーガー不在が響いた。大リーガーがチームにいるというのは、実力云々というより、米国の球場でプレーしている選手がいるということが大きい。打線にしても、準決勝では多くの打者がボール球に手を出して凡打を重ねた。特に4番打者の阿部慎之助(巨人)はひどかった。4打数ノーヒット。3度も得点圏に走者を置いての凡退はもはや4番打者ではない。

 山本浩二監督のさい配も、東尾修・投手総合コーチらコーチ陣の判断もさえなかった。現場から離れていたため、勝負勘が鈍っていた ・・・ログインして読む
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筆者

松瀬学

松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター

ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。

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