2014年01月07日
2013年は「男の性欲」というミステリーゾーンに、わずかに、しかし確実に光があたった年だった。この流れが2014年にいっそう盛りあがり、「男の性欲」という言葉によってあらわされる現象の解明、つまり「男の性欲」スタディが躍進することを期待して、2013年をふりかえりたい。
「女体の神秘」という言葉があるが、「男の性欲」は女体よりよほどミステリアスだ。たとえば、「ストレスを受けた男が、本能的に性暴力に走る」というストーリーはくりかえし語られるが、「ストレス→ 本能→ 性暴力」という因果関係がなぜ成立するのかはほとんど説明されない。遺伝子にプログラムされているからとか、脳のなかの暴力衝動をつかさどる部分と性欲をつかさどる部分が近接しているからという通俗生物学の解説はある。が、ストレスを受けても性暴力に走らない男性がいる理由を説明しない。
「ストレスを受けた男が本能的に性暴力に走る」というストーリーは有害である。加害者にたいする責任追及を挫折させるからである。このストーリーにおいて加害者は、ストレスや本能という外在的要因にあやつられた、「すこし気の毒な人」として表象される。人びとが「これ以上追及してもしかたない」と思えば、ストーリーの仕事は成功である。加害者がどんなに糾弾され、罵倒されても、最終的な責任追及のツメは甘くなる。
こうしたストーリーが力を持ちつづけているのも、「男の性欲」がなかなか分析の対象にならないからである。ポルノやAVや性風俗など、男の性欲〈に〉奉仕する表象やシステムは山ほどあるのに、男の性欲〈についての〉まともな説明は不在という異様なありさま。「男の性欲」は、まるで結界がはられたような、容易にたちいれないミステリーゾーンとして、ぼんやりと暗闇の中にとりのこされている。
しかし2013年は、このミステリーゾーンにわずかに、しかし確実に光が当たった。具体的には、研究、政治家にたいする市民の声、医療の現場で確認された。
研究の世界では、 牧野雅子『刑事司法と
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