号泣する外国選手、発言に気を遣う宇野昌磨……
2015年11月17日
日本から4選手が参戦した、グランプリ(GP)シリーズ第4戦フランス大会、エリックボンパールトロフィー(フランス杯)。
11月13日、パリで起きた同時多発テロの影響で、ショートプログラムを終えた時点で中止、という非常に残念な事態となった。現地の状況、選手の様子などをまずはレポートしたい。
記者会見でも宇野にたくさんの質問が投げかけられ、彼もしっかりと、メジャーゲームで記者会見に呼ばれる選手にふさわしい受け答えをしてみせる。明日のフリーへの期待は、いやがおうにも高まっていた。
その夜のうちは、ほとんどの選手、コーチ、関係者、また報道陣もことの次第を知らずにホテルに戻り、ニュースや日本からの連絡で事態を知ったのは、その夜遅く。
しかし就寝前の報道では、まだ詳しい情報が入っていなかったため、翌日のフリーに影響があるなどとは誰も考えなかっただろう。選手やコーチたちの朝は早い。何も知らずにその日を終えた関係者も多かったはずだ。
明けて、14日。起床後のニュースで知った犠牲者の数に、まず驚く。ここで初めて、今大会に何か影響があるかもしれない、と、関係者たちはそれぞれの予定を早めてリンクに急いだのだ。
ボルドーの町、少なくとも会場周辺は、前日までと変わらずいたって穏やかだ。日本からは安全を心配する連絡が次々と寄せられたが、ボルドーはパリから500キロも離れている。この町にいる限り、身の危険はほとんど感じられない。
変化といえば、警察署の前に銃を構えた軍人がふたり立っていたこと、前日まではなかった手荷物チェックが入場の際、行われたことくらい。それも、ごくあっさりとしたものだ。
「スケートアメリカの開催地、ミルウォーキーの方が、よっぽど危なかったですね」などと話すカメラマンもいる。
会場のメリアディックスケートリンクでは、朝7時半スタートの女子の公式練習が平穏に始まる。
ジャンプの調子が良くて笑顔の選手もいれば、転倒を繰り返して厳しい表情を見せる選手もいる。村上佳菜子や樋口美穂子コーチらも、彼女たちのペースで練習をこなす姿を見て、とりあえずほっとしてしまう。選手たちに精神的な影響がなければいいな、とこの時点では思っていたのだ。
既にフランス全土に非常事態宣言が出ている状況下で? と思われるかもしれない。しかし、
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