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経済ニュース番組を切り開いた「WBS」[9]

ニュース帯番組不毛だったテレビ東京が30年前に決断した選択

川本裕司 朝日新聞社会部記者

 いまも続くテレビ東京の経済ニュース番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」は1988年2月25日、4月からのスタートが発表された。社長の中川順(2010年死去)が「東京、ロンドン、ニューヨークと世界3大市場をリアルタイムで結び、ビジネスニュースを伝える」と力を込めた。

 初代のメインキャスターに起用された小池百合子(66)=現・東京都知事=は「究極の経済番組にスタートから参加できて光栄だが、大変な責任を感じている。人、企業、地球の経済を扱う。いいグループワークで頑張っていきたい」と笑顔で抱負を語った。

 関係者によると、海外と中継でつなぐことから、語学力と国際的な知見がメインキャスターの条件だった。カイロ大に留学経験があり、79年から日本テレビ「竹村健一の世相講談」のアシスタントとして出演していた小池に、白羽の矢が立った。

 WBSは月~金曜の夜11時30分から45分間放送する国内初の本格的経済ニュース番組だった。日本の夜11時30分は、ロンドン(夏時間)で株式相場の終わる時刻、ニューヨークでは市場が始まってから1時間半という情報がつながる唯一の瞬間だった。24時間マネーが駆け巡る金融の国際化、円高による産業構造の変化がすすむなか、親会社の日本経済新聞のバックアップ、ロイターやダウ・ジョーンズ、その傘下のウォール・ストリート・ジャーナルといった海外報道機関との連携という大がかりな枠組みでWBSが誕生した。

 この記者会見で、取締役編成局長の深川誠(84)は「個性化の象徴的な番組。制作費は月に2億円程度と常識を破る額だ。ただ、ニュースショーの戦争には参加しない」と表明。取締役報道局長の池内正人(85)は「昨年8月ごろから計画していた。国際経済の動きに直接関わる人や投資をしている主婦らがターゲット。超マジメなニュース番組だが、視聴率は2%取れれば。3%を目標にしている」と述べた。深夜に放送していた「ニュース・日経朝刊」が終わり編成されたWBSは、テレビ東京になかった看板のニュース番組だった。のちに、中川は「スポンサーも超一流がすべてついた」と胸を張った。

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員。10年、論説委員兼務。17年4月から東京社会部。著書に『ニューメディア「誤算」の構造』。共著に『テレビジャーナリズムの現在』『被告席のメディア』『新聞をひらく』。

 

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