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政府は、留学生の入国禁止措置を解除せよ

五輪関係者は入国を認め、留学生は認めないのか

田中駿介 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

 コロナ禍のもと、日本に入国を希望している留学生が、国費留学生などを除いて、入国できないまま足止めされている。大使館等に連絡して対応を求めても取り合ってくれないという。留学生、研究者の渡航は決して、「不要不急」なものではないのに……。

記者会見する加藤勝信官房長官=2021年6月17日、首相官邸拡大記者会見する加藤勝信官房長官=2021年6月17日、首相官邸
 彼ら/彼女らの訴えは非常に深刻である。加藤官房長官は3月19日の記者会見で、留学生やアスリートの入国について「個別に判断していく」と発言していた(注1)。しかし隔離なしの渡航が可能になった五輪関係者と異なり、多くの留学生には未だ入国禁止が続く。

暮らせないまま家賃を払い、日本語資料も手に入らず

 「私の事情は『特段の事情』にあたらないのでしょうか」

 早稲田大学に通う女性、ジンさんは嘆いている。日本への入国を認める「特段の事情」があるとはみなされなかったからである。

 ジンさんは、もとの大学に在籍したまま一定期間留学する「交換留学」ではなく、正規の学生として早大に進学していた。当然、日本の留学ビザを持っていた。2019年から早大の交換留学制度を利用し、中国の大学に留学を果たしたが、ここで「第3国」に渡航したことにより、日本への入国がかなわない状況が現在も続いている。

 早大では、少しずつ対面授業が再開してきた。早大の公式ホームページには、「新型コロナウイルス感染症の状況を慎重に見極めながら、十分な感染対策を実施したうえで、全学的に対面授業を拡大し、2021年度以降、対面授業が7割となることを目指して準備しています」との文字が躍る(注2)

 しかしながらジンさんは日本への入国がかなわず、入国が制限される1週間前に契約したマンションの家賃を半年近くも払い続けることとなった。指導教員とのやりとりもかなわない。卒業論文執筆にむけて資料を集めようにも、現地では日本語資料がほとんど手に入らない。インターネット上で手に入る論文しか、収集できない状況になっている。

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筆者

田中駿介

田中駿介(たなかしゅんすけ) 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

1997年、北海道旭川市生まれ。かつて「土人部落」と呼ばれた地で中学時代を過ごし、社会問題に目覚める。高校時代、政治について考える勉強合宿を企画。専攻は政治学。慶大「小泉信三賞」、中央公論論文賞・優秀賞を受賞。twitter: @tanakashunsuk

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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