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ワクチンを拒否する共和党支持者たち。分裂した米国は感染拡大を防げるのか

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

トランプ支持者と接種率の関係

 CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の統計による色分けの地図を見ると、全米の中で接種率が高い州はワシントン、オレゴン、カリフォルニアの西海岸と、北東部沿岸に集中している。この分布図はどこかで見たことがあると思ったら、昨年の大統領選の民主党多数(青)と共和党多数(赤)の州分けと、ほぼ一致しているのだ。トランプ前大統領を支持した共和党多数の州の大多数が、平均以下の接種率を示しているのである。

 今更繰り返すまでもないが、その理由の一つはトランプ前大統領がパンデミック初期から、新型コロナウイルスを軽視する発言を繰り返してきたことだ。本人は大統領選前に感染し、退任前にはワクチン接種を済ませたものの、専門家の意見を軽視した当初の姿勢は、多くの共和党支持者たちの中に深く刷り込みされている。新型コロナウイルスは風邪やインフルエンザなどと変わらないと主張して、彼らはマスクの着用を拒否し続け、現在はワクチンを拒否しているのである。

 バイデン大統領が就任した当時、彼は自分に投票した国民にも投票しなかった国民にも平等に仕えると明言した。その約束通り、経済的援助、ワクチンの配布など、連邦政府は青赤どちらの州にも平等に対応してきた。だが半年たった現在でも、米国の分裂は改善されていない。その象徴的なものが、このワクチン接種率の分布図なのである。

ワクチンを拒否する人々の理由

/Shutterstock.com拡大トランプ前大統領の影響でワクチン接種に反対する人たちもいる Drazen Zigic/Shutterstock.com

 昨年11月の大統領選では、どれほど簡単に人々がデマに踊らされるかが浮き彫りになった。現在新たな集団感染が起きている南部、特にアラバマ、アーカンソー、ルイジアナを中心としたディープサウスは全米の中でも経済的に貧しく、大学進学率がもっとも低い区域でもある。Qアノン陰謀説や「大統領選不正選挙」論に惑わされた層と、根拠のないワクチン陰謀論を信じる層は重なっているのである。

 その一方、中には

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筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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