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子どもに「家族のケア」か「自分の人生」かを選ばせないで!~元ヤングケアラーの願い

政府による3年間の「集中取組期間」に向けて

藤木和子 弁護士・優生保護法被害弁護団

私のことは誰が助けてくれるの?

 以下、「きょうだい」の立場のヤングケアラーの声を紹介します。身近な支援者としての役割を期待される一方で、誰にも言えない思いや切実な悩みを抱え、助けが必要な場合もあります。

 「ジロジロ見たり、軽い気持ちで悪口を言わないで!」
 「障害のある弟の分も頑張れ? 自分の分しか頑張れない! 弟も頑張ってるよ!」
 「親や障害のある弟を助けてあげてねだって? じゃあ私のことは誰が助けてくれる?見てないで助けて!」
 「障害に関係ある仕事を選ぶべき? 実家を出るのは家族を見捨てたと責められること?」
 「友人や恋人に弟の障害のことを話したいけれど、相手やその家族の反応が不安!」
 「弟の障害は親の責任? 私は? 遺伝のことも心配!」
 「親がいなくなったら弟はどうなるの? 親とはなかなか話せない…!」

(拙書の「はじめにーー誰にも言えなかった思い」より)

 このように、ヤングケアラーには、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで、本人の育ちや教育、進路や人生に影響が生じます。

拡大NPO法人しぶたねのホームページから

ヤングケアラーであることも、悩みも自覚しにくい

 昨年から、政府によるヤングケアラーに対しての本格的な取り組みが始まり、2021年3月~9月に厚生労働省と文部科学省共同の「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム(以下、政府PT)」が開かれました。私は、障害のある弟と育った「きょうだい」、ヤングケアラー経験者・支援者としての体験や意見を述べさせていただきました(第3回、第5回会合、厚労省ホームページに議事録あり)。

 政府PTでは、「家庭内のデリケートな問題であることなどから表面化しにくい構造」 、「子どもが『介護力』と見なされる場合がある」、「支援が必要な子どもがいても、子ども自身や周囲の大人が気付くことができない」とまとめられました。

拡大厚生労働省の「ヤングケアラーの実態に関する調査研究のポイント」から
 たしかに、私よりもケアによる時間面や精神面での負担が大きく、授業や部活を欠席、希望の進路の断念まで支障が生じている子どもでも、その子にとってはそれが当たり前の日常生活です。そのため、自分自身に課題や悩みがあると自覚しているケースは少ないです。ニュース等を見て「私はヤングケアラーに当てはまるのでしょうか?」との連絡が、最近増えています。

 なお、成人後、定義上は「ヤングケアラー」ではなくなります。しかし、上記でご紹介した声の通り、当然、悩みや課題は続きます。特に進路・将来設計についての悩みは、より一層深まります。私は、友人が仕事についての夢や希望を語り、結婚・出産していく中で、「地元で家族のそばにいるべきか」、「安定した職業に」、「できれば自分のこの経験を活かしたい」、「結婚を考える相手に自分の家族の事情や思いを理解してもらえるのか」ということばかり考えていました。

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筆者

藤木和子

藤木和子(ふじき・かずこ) 弁護士・優生保護法被害弁護団

1982年生まれ。耳の聞こえない弟とともに育つ。手話通訳者。聞こえないきょうだいをもつSODAソーダの会代表、全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(全国きょうだいの会)副会長。障害のある人のきょうだい(兄弟姉妹)・ヤングケアラー経験者として活動。優生保護法被害弁護団。 【Twitter】 https://twitter.com/KazuFujiki 【Facebook】 https://www.facebook.com/kazulinlin

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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