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スリランカ内戦の戦争責任――日本政府は声をあげよ

土井香苗

土井香苗 国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表

 ちょうど2年前の5月、26年間に及ぶスリランカ内戦は終結した。政府軍が、分離独立派武装組織「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)を殲滅したのだ。その内戦最後の数ヶ月間に、スリランカ北東部の美しい海辺で殺害された民間人は万に及ぶとみられる。

 この「大殺戮」について、国連事務総長に先月提出された新しい報告書は、内戦の両当事者に責任があると言明し、真相究明と法の裁き(ジャスティスとアカウンタビリティ)に向けて、国際的メカニズムを設立するよう勧告している。

スリランカ北部のタミル・イーラム解放の虎(LTTE)支配地域から逃れてきた避難民=2009年5月、AP
 スリランカでこの大殺戮が進行する中、国際社会の大部分はただ傍観するのみだった。それだけではない。内戦終了後も、内戦での残虐行為に対するスリランカ政府の捜査の懈怠(かいたい)に対しても、重い沈黙は変わっていない。

 しかし、今回の国連の委員会の報告書の公表により、各国政府の静けさに、もはや言い訳の余地はなくなった。スリランカ政府に影響力の強い日本政府が、他国とともに、真のジャスティスのために国際的調査を求めることが非常に重要である。

 今回発表された報告書は、世界的に著名な3名の専門家からなる国連の委員会により作成された。極めて入念かつ専門的な調査であり、スリランカ政府と「タミルの虎」に対する厳しい告発となっている。

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