石丸次郎
2011年07月12日
支援がもっとも困難な人々に届くことを願わんばかりだ。
「北朝鮮国民の大半は配給制度によって食糧にアクセスしており、食糧難によってその配給量が大幅に減っている」
という説明である。
これは、はっきり言って間違いである。北朝鮮で食糧配給制がシステムとして稼働していたのは90年代初頭までの話である。
現在、不充分ながらも食糧配給の対象となっているのは、後述するが、人口の20%程度に過ぎないと筆者は見ている。
北朝鮮は「配給労働制」を採って来た。
国民が現金で食糧を購入することを許さず、労働の対価として食糧を支給してきた(現金支給は微々たるものに過ぎなかった)。
これは、「食べ物をやるからいうことを聞け」という胃袋を人質にした労働制度だ。それを支えてきたのは、政府権力による「カロリーの一元管理」であった。つまり、国家や機関による配給以外に、食糧入手の手段を徹底して取り締まったのである。
例外は、小さな自留地で生産される野菜やタマゴ程度で、食糧は個人による売買が厳しく統制された。
民衆は、家族を養い胃袋を満たすために、毎月二度与えられる配給を待つ他なかったのである。
ところが、
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