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パブリック・マネーについて考えよう

鈴木崇弘

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 パブリック・マネー(PM)という考え方を導入してはどうかと考えている。ここでいうPMとは、広い意味で、社会に関わる様々な活動を支えるお金のことである。

 日本で、そのようなお金で最初に思いつくのは、税金だ(注1)。社会には必要であるが、経済的かつビジネス的にペイしないゆえに提供されない、あるいは提供されにくいインフラやサービスがある。そのために、国民・納税者からお金を集めて、活用することが必要になる。それが税金である。

 日本では、税金以外のPMはなかなか思いつかない。しかしながら、米国をはじめとした各国には別のものがある。たとえば、寄付金や政治献金(注2)だ。

 では、税金とPMとではどこがどう違うのか?

 税金も寄付も政治献金も、元々は、国民・市民あるいは納税者のものだ。ただ、お金の相手先が異なる。税金は行政、寄付は主に非営利セクターなどの非営利団体(注3)、政治献金は政党や政治家・議員である。

 日本では従来、パブリックな(公的な)、あるいは社会的なことは、ほとんどすべて官(行政)が行うという意識が強い。そのこととも関連しているからだろうが、公的なお金は、行政がハンドリングすることが当然であり、結果として、PMはほとんどが税金ということになっているのだろう。

 だが、それは本当だろうか? 

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