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 11月6日のアメリカ大統領選挙の投票日が、だんだんと近づいている。世論調査では民主党のオバマ大統領が、共和党の挑戦者のロムニー候補に、じりじりと差を広げつつあるようだ。オバマの優位は、「マイノリティー」と「マジョリティー」に支えられている。

 「マイノリティー」とは、非白人の市民である。この人々の人口が増えている。マイノリティーがマジョリティーになりつつある。アメリカは白人の国でなくなりつつある。この非白人の間では、オバマはロムニーよりも人気がある。また「マジョリティー」とは、人類の多数派である女性である。女性の支持だけに限ると、統計にもよるが、オバマ支持がロムニー支持を9パーセントも上回っている。

 特に若い女性、働く女性、未婚の女性にオバマの支持率が高い。またラテンアメリカ系のヒスパニックとかラティーノとかと呼ばれている層の支持が高い。ラティーノの場合には男女をあわせた全体でもオバマ支持率が高いのだが、女性だけに限るとロムニーに、なんと40パーセントの差をつけている。女性のグループでロムニーの方がオバマより支持率が高いのは、白人の既婚女性くらいなものである。

 ロムニーが女性にもてないのはなぜだろうか? 答えは、二つだろうか。

 第一にオバマのマイノリティーの間での人気の高さである。オバマ要因といってもよいだろう。

 第二は、そもそも女性は民主党支持の傾向が高い。共和党が、女性票の過半数を押さえたのは、1988年が最後である。これはブッシュ父親大統領が当選した選挙であった。24年前が共和党にとっては最後の「モテ期」であった。となると共和党が女性にモテないのは、ロムニーの責任ばかりではない。

 それでは、なぜ女性は共和党を支持しないのだろうか。

 それは、共和党の訴える「小さな政府」が女性に嫌われているからだ、たとえば未婚の母親の場合には、医療や福祉、保育や教育で、政府の支援が欲しい。ロムニーのように稼ぎのよい夫がいれば、政府の援助を女性は必要としない。既婚の白人女性の間でのみ、ロムニー支持がオバマ支持を上回っているという数値は、こうした状況の反映であろう。

 しかし、多くの女性は、そうではない。クリントン元大統領の母親や、オバマ現大統領の母親のように、女手一つで子育てしたような人々は、社会からの支援を必要としている。大きな政府を求めている。

 この問題は共和党にとっては重大である。未婚の母親や、離婚した母親が、これから減るとは考えにくいからである。逆におそらく増えていくだろう。小さな政府を訴えつつ、こうした女性の支持を得るのは至難の業である。

 共和党にとっての救いは、未婚女性の投票率の低さである。逆に、これが、オバマ陣営が、投票を強く呼びかけている理由でもある。いかに女性の心をつかむか。男性にとっての究極の課題への解答が、共和党の将来を決めるだろう。

筆者

高橋和夫

高橋和夫(たかはし・かずお) 放送大学教養学部教授(国際政治)

北九州市出身、放送大学教養学部教授(中東研究、国際政治)。1974年、大阪外国語大学ペルシャ語科卒。1976年、米コロンビア大学大学院国際関係論修士課程修了。クウェート大学客員研究員などを経て現職。著書に『アラブとイスラエル』(講談社)、『現代の国際政治』(放送大学教育振興会)、『アメリカとパレスチナ問題』(角川書店)など多数。ツイッター https://twitter.com/kazuotakahashi ブログhttp://ameblo.jp/t-kazuo 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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