2016年06月20日
沖縄の知事が国連で基地問題を人権侵害として“直訴”するのは初めてのことだった。辺野古新基地建設で国に追い詰められた沖縄ではもはや憲法だけでなく、国際法に訴える新たな取り組みが生まれている。
自己決定権とは一般的にいえば「自分の生き方や生活について自由に決定する権利」だ。個人の権利の側面もあるが、国際法である国際人権規約は、自由権規約でも、社会権規約でも、各第1部第1条に位置付け、集団の権利として「人民の自己決定権」を保障している。
なぜ人権の1丁目1番地なのか。それは、集団の自己決定権が損なわれれば、集団を構成する人々の人権が侵害される可能性が著しく高まるという考え方があるからだ。
国際法学者の阿部浩己神奈川大学教授によると、この自己決定権は今や国際法の基本原則の一つとなっており、いかなる逸脱も許さない「強行規範」と捉える見解もある。
沖縄がいま、直面している名護市辺野古への新基地建設問題に即していえば、外交や防衛に関しては、国の「専権事項」とされているため、国はその立場を利用し建設を強行している。しかし、その基地建設自体が、沖縄住民の運命を大きく左右することだと、沖縄住民が認識しているため、その意思決定過程に、沖縄住民の民意を反映させよという主張が自己決定権の行使だ。
「基地の縮小」という住民の民意が反映されていないからこそ、米軍絡みの事件・事故が繰り返される、つまり人権侵害が続いているとみることができる。
ところが、日本政府は、その民意を無視し、日米同盟という「国益」の下で、沖縄に基地を押し付け続けている。「国益」や「公益」の名の下で、特定の地域を道具のように扱うのは植民地主義といえよう。今日の日本政府と沖縄の対立は、日本の植民地主義と
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