東野 真和(ひがしの・まさかず) 朝日新聞編集委員
1964年生まれ。社会部、政治部、編集センター、特別報道センターなどを経て、東日本大震災後に岩手県大槌町で3年間、熊本地震後に熊本県南阿蘇村で2年間、それぞれ民家に下宿。現在も震災復興・地方自治の編集委員として取材を続ける。著書に「駐在記者発 大槌町 震災からの365日」(岩波書店)、「理念なき復興」(明石書店)など。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
統一地方選の3候補を追って見えたもの
今年の統一地方選では、前回にも増して、議員のなり手不足と、その一因でもある女性の候補者が少ない点が話題になった。選択肢が少なければ自然と投票率も下がる。道府県議・市区町村議選の全国平均も戦後最低だった。
今回は、昨年5月に日本版パリテ法とも言われる候補者男女均等法が成立して初めての統一選だったので、女性候補がどれだけ増えるか特に注目された。結果はこうだ。
道府県議候補者のうち女性の割合…12.7%(前回統一選は11.6%)
同当選者の女性の割合…10.4%(同9.1%)
市議選(政令指定市を除く)候補者のうち女性の割合…17.3%(同15.0%)
同当選者の女性の割合…18.4%(同16.1%)
町村議選候補者のうち女性の割合…12.1%(同10.1%)
同当選者の女性の割合…12.3%(同10.4%)
いずれも微増にとどまった。このペースだと、法の趣旨通り男女が半数ずつになるのは今世紀中も微妙だ。
女性はなぜ立候補しないか。育児、家事を担いがちで、地域も家庭も女性を議員にしたがらないという男社会が阻んでいたり、議員を志向する女性自体も少なかったりと、理由は指摘し尽くされているが、その中で立候補する人たちは、何を思い、どう戦っているのだろう。
私は、政治とは無縁だった3人の女性が、それぞれ県議選、区議選、市議選に初めて挑んだ様子を、選挙の告示前から密着取材した。1人が当選、2人が落選した。立候補のハードル、戦い方、選挙後、という観点から総括し、参院選も見据えてみた。
見えてきたのは、彼女たちの戦いは、選挙や政治に日常性を持たせる戦いでもあったということだ。
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