
川崎・登戸の殺傷事件から1週間、現場近くには数多くの花束が手向けられていた=2019年6月4日
6月4日(火) 午前中、「報道特集」の定例会議。前半の特集は参議院選挙の一人区に焦点をあてたものになりそうだ。川崎の殺傷事件やその後の元農水事務次官の長男殺害など、時代を映し出す事件への無反応に内心苛立っていたので、先週のネタは米中貿易摩擦ではなく、そっちの方だったんじゃないの、程度の感想を言ったが全くの無反応だった。議論をしないのだ。いつからこんな御前会議みたいなふうになってしまったのか。息苦しい。
川崎の殺傷事件の現場をみる。いまだにひっきりなしに献花に人々が訪れていた。現場のひとつとなったコンビニ前の道路脇に記者が座り込んでパソコンで記事を送っていた。この風景自体が非日常なのだが。
局に戻って「調査情報」の原稿をひたすら書く。三島由紀夫の天皇制について。というよりは、三島由紀夫の「戦後否定」の根拠としての、日本人の戦後の精神性の喪失、つまり金さえ儲かればいい、過去なんてどうでもいい、日本人として生きていくうえでの「論理的な一貫性」=integrityの欠如を問う姿勢について書きたいと思っていたのだ。今から考えると、「三島由紀夫VS東大全共闘」のフィルムに何故僕があれほど惹かれたかの根っこには、このことがあったのだと思う。
午後になって「報道特集」の特集が急遽差し替えになって、「引きこもり」についてやるという。何があったのかよくわからない。福岡県在住の奥田知志さんの意見に深く考えさせられたことがあったので、そういう深掘りができればいいと思っていたのだが、参議院選挙の企画は予定通り取材を進めるという。それで僕はあした秋田へ行くことになる。そう言えば今日はあの天安門事件から30周年の日に当たる。