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国会論戦はよみがえるか?論点がひしめく臨時国会

アベノミクス検証、関電疑惑……問われる立法府の意義

星浩 政治ジャーナリスト

「国会で質問するときは『念』を入れろ」

 国会論戦について思い起こすことがある。

 それは、民主党が2009年に政権を奪取する前の野党のだったころ、仙谷由人氏(後の官房長官、故人)が後輩たちに説いていた言葉だ。「国会で質問するときは『念』を入れろ」である。

 仙谷氏の指導を受けていたのは、枝野幸男、辻元清美、細野豪志、古川元久各氏ら当時の民主党若手議員。「念を入れろ」とは、国民の気持ちが乗り移ったような意識を持って、気合を入れて質問しろという意味だった。

 「弱者、少数者、差別を受けている人、そういう人たちの声をじっくり聞いて、その気持ちを自分の魂に吹き込んで、質問に立つ。それが国会議員の仕事だ」と仙谷氏が語っていたのを、いまも鮮明に思い出す。

 しかし現実には、その後、「念の入った」国会論戦はあまり聞かれることはなかった。それより、平成後期の政治を彩ったのは、民主党への政権交代や自民党の政権復帰、そして安倍首相の「一強」政治といった、権力の争奪戦であった。仙谷氏の「門下生」の一人だった細野氏が、結局は旧民主党勢力から離れ、無所属となって自民党入りをめざしている姿は、国会論戦より権力という政治の実情を象徴しているように思う。

国会は国政調査権で関西電力疑惑にメスを

拡大高浜原発をめぐる疑惑についての記者会見の最後に頭を下げる、関西電力の八木誠会長(左)と岩根茂樹社長=2019年10月2日、大阪市福島区
 ここからは具体的な論点について見ていこう。まず、最近、メディアを騒がせている関西電力の福井県高浜原発をめぐる金品受領問題についてだ。なにより求められるのは、実態の解明である。

 高浜町の元助役(故人)から関電幹部に、総額3億2千万円分の金品が渡されていたことは判明しているものの、経緯については未解明な点が多い。元助役は、地元の建設会社から3億円を受け取り、それを関電側に渡したとみられているが、カネの流れや意図も明確になっていない。

 この建設会社は、関電の原発関連工事を大量に受注している。実質的には、関電からの原発関連資金が、建設会社と元助役を経由して関電幹部に環流している構図が浮かび上がってくる。「原発マネー」の環流である。

 野党側は、関電幹部を国会に招致して真相解明を進めるべきだと主張しているが、自民党は「民間企業なので、国会招致はふさわしくない」と慎重な姿勢を崩さない。だが、関電が高浜町で進めてきた原発事業は、「国策」として扱われてきた。そして、電力会社は公益事業を担う存在として、多くの優遇措置が与えられている。

 国民が支払った電力料金が関電の「裏金」に回っている可能性がある中で、国会が国政調査権によって疑惑にメスを入れるのは当然である。

 今回の資金環流は、東日本大震災による福島原発事故を受けた、原発の安全対策工事に関連している。電力会社は原発の再稼働をめざし、安倍政権も原発を国の基幹エネルギーと位置づけてきた。不明朗なカネの動きが再稼働に影響を与えていないどうか、国会は解明に努めるべきだろう。

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筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

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