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水没の宮城県丸森町をみて言葉を失う

[159]台風19号、千葉県鋸南町、宮城県丸森町……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

「ヘルメットを被れ」と……

10月11日(金) 朝。千葉県の鋸南(きょなん)町へ。前回の台風15号で甚大な被害を被った場所だ。港を囲むようにして連なる町並みの屋根にはブルーシートがたくさん目につく。台風の備えに従事する人々を取材して回った。一応、土嚢(どのう)などで重しをしているが、これらのブルーシートは強風で飛ばされてしまうのではないか。なかにはペットがいるので、避難所には行かないという人もいた。過疎地でひっそりと暮らす高齢者たちにとって、ペットは家族同然である。そのペットを避難所に連れていけないとなれば、むしろ自分も一緒にそこに残るという選択肢をとるのだろう。

ブルーシートで覆われた屋根が目立つ岩井袋地区では、台風19号に備えて土嚢(どのう)を増やす人の姿があった=2019年10月8日午前10時31分、千葉県鋸南町、20191008拡大土嚢(どのう)を増やして台風19号に備える=2019年10月8日、千葉県鋸南町岩井袋地区

 以前の取材で「何が内閣改造だよ」と怒っていたKさん夫妻のご自宅にもうかがった。やはり家の修復にはかなり時間がかかりそうだと言っていたが、お元気そうだった。車を走らせていると、老夫婦が引き戸に板を釘で打ち付けていた。かなりご高齢のご夫婦で、奥様が76歳、釘を打ち付けている旦那さんが83歳で認知症が少し入っているという。前回は避難所には行かなかったが、今回は早めに鋸南小学校の避難所に行くという。

 どうやら明日は鋸南町からの生中継となりそうだ。その後も継続取材となる場合を想定して、あしたの中継は同行ディレクターが交代する。それまでに中継箇所の諸交渉を続ける。

 鋸南町近辺では泊まる場所がないので、いったん東京の赤坂に戻り、局の近くのビジネスホテルで眠る。カメラマンが払底しているのか、明日の午前中だけ用のカメラマンが僕らと共に行くという。

10月12日(土) 「報道特集」のオンエア。早朝、再び千葉県の鋸南町へ。車中で「週刊現代」のコラムの原稿。風雨が徐々に強まってきた。

 台風15号の被害がきわめて甚大だった岩井袋地区を取材。屋根のブルーシートが激しく揺れ動いている。これでは暴風で飛ばされるのも時間の問題のように思える。以前から頼まれていた「KAWASAKIしんゆり映画祭」に出られない場合を想定して、手当てを考える。Oさんに連絡。

 午後になって鋸南小学校体育館の避難所に行くと、今回は早めの避難を考えてやって来た人たちがかなりいた。壁際から場所取りが始まる。この場所には、中国のCCTVやNYタイムズなども取材に来ていた。どんどん住民がやって来て、体育館だけでは足りなくなり、幼稚園の中にも避難所を増設していた。きのうお会いした老夫妻がちょうどいらっしゃった。生中継でお話をお聞きしたいと交渉した。

 かなり風が強くなってきた。といっても、一応屋根があるし、校庭のそばで何かが飛来してくる危険もない。ところがリハーサルをしていたら、東京から「危険だから避難所に少し入ったところに場所を変えろ」という。さらには

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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