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小沢一郎「マニフェストを自己否定したのが失敗」

(24)財源はいくらでもある。安倍政権を見ればよくわかる

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

安倍政権を見れば「財源はある」ことがよくわかる

――2009年の政権交代、民主党政権誕生は、小沢さんにとって旧来の自民党政治に対する二度目の挑戦、言ってみれば国民にとっても二度目の挑戦になったわけですが、挫折しました。その挫折の要因について、小沢さんはどのような思いを抱いていますか。

小沢 それはある意味でわかりやすいことです。端的に言いますと、自分自身が作ったマニフェスト(政権公約)、それを掲げて政権を任されたマニフェストについて、それが間違いだった、無理だったと言うわけですから、国民の信用を失うのはやむをえないと思います。

 ぼくは、そのマニフェストの細かいところまで分析して判断しているわけではないけれども、そういうマニフェストを掲げて努力を続ける政治スタンス、政治姿勢を国民は期待していたんだと思います。しかし、それが間違いだったと途中で言ったのでは、最初から自己否定になってしまうんです。それが象徴的だったと思います。

――その自己否定の遠因となったのは、やはり財源の問題でしょうか。

小沢 それは違うと思います。そんなことは自民党の宣伝に乗せられている話です。今の安倍政権をご覧なさい。何十兆円もむちゃくちゃ使っているではないですか。財源はいくらでもあるんです。ぼくはそのことをよく知っている。第2次安倍政権になってからどれだけお金を使っているか。それはどこから出ているのか。特別会計のこともあります。民主党政権が潰れた後の安倍政権を見れば「財源はあるんだな」ということがよくわかります。

――2004年、岡田克也代表の時に迎えた参院選では3%の消費税増税を言っていたのですが、小沢さんが代表になって消費税は上げないという決断となりました。この時、岡田さんや菅直人さんたちが増税路線を主張して論戦になったという回顧がありますが。

小沢 そんなことはありません。論戦や激論などはなかったですね。増税しないということについてはみんな賛成しました。岡田さんも菅さんも、逆立ちしても鼻血が出ないくらい改革してから増税の話になると自ら発言していると思います。

――私の推測では、小沢さんは、やはり消費税は絶対に上げないというのではなく、その前に徹底的にやるべき改革が政府にはあるでしょう、という立場だと思うのですが。

小沢 そういうみんなの合意でした。ですから、民主党が政権を取っても、最初の任期中は消費税増税などは考えないで、無駄を省く改革に全力を挙げようということでした。そういうことをみんな一生懸命話し合っていました。

拡大政府連立与党首脳会議にのぞむ小沢一郎民主党幹事長、福島瑞穂社民党党首、鳩山由紀夫首相、亀井静香国民新党代表、菅直人国家戦略相=2009年9月28日、首相官邸

「増税と減税は状況による」

――以前も少しお聞きしたんですが、1994年の細川内閣の最後のころに国民福祉税の問題がありました。そこでは、国民福祉税という形で消費税を上げるということでしたが、民主党政権のところでは上げないという判断となりました。このあたりのことは小沢さんの中でどのように整理されているのでしょうか。

小沢 どうということはないです。それは、状況の違いによります。最初に消費税を導入したのは竹下(登)内閣ですが、その時にぼくが(当時内閣官房副長官として)尽力して作ったんです。自由党の時には消費税と同時に大減税をやって所得税と住民税を半分にしようと唱えていました。だから、増税や減税というものは政治そして経済の状況によるわけです。

 民主党の場合は、とにかく政治主導、国民主導ということを第一に考えて、無駄を省こう、役人主導はだめだということをみんなで合唱していました。だから、民主党はそういうことを言った以上はその約束は破ってはいけないとぼくは言っていたんです。単純な話です。

――なるほど。そういう判断を含めて、政権を獲得するまでに自民党と一時的に大連立を組んで、財政も含めて経験を積んでおけば、政権担当能力という点でかなり違った展開になったでしょうね。

小沢 それは一つの点としてあります。むしろ一番大きい。しかし、それと同時にもう一つ、大連立によって逆に政権に近づけるという狙いもあったんです。庇を借りて母屋を乗っ取る、という話です。

――それは、何か具体的なプランがあったのですか。

小沢 いやいや、あるも何もない。政権の座に就けば予算の編成、執行をはじめとして何でもできます。それと、国民の期待感が一緒になれば一番いいということです。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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