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それでも中国が今年も高成長を続けるワケ

米中戦争などの悲観要素で見誤ってはいけない中国の政治・経済力

酒井吉廣 中部大学経営情報学部教授

「10年でGDP2倍」の公約達成は容易ではないが

 中国共産党・政府は、2020年のGDPを2010年比で実質2倍にすることを国民への公約としており、この達成のため、今年は+6.2%の実質成長が必要である。今年、これを達成して、来年の中国共産党結党100周年につなげたいところだろう。

 しかし、直近の第2四半期が+6.0%で、その主たる原因である米中貿易摩擦等が継続していることを考えると、公約の達成は容易ではない。一人っ子政策を廃止しても、少子化の流れは変わらず、高齢化ビジネスの拡大はあっても、経済全体の活性化エネルギーが低下することは否めない。不動産価格の低下は投機熱を冷ますものの、経済成長にはマイナスである。

 地方都市や農村部のインフラ整備、全国へと広げる新幹線の建設と運行などによる国家が負担する債務も大きく、様々な措置が打たれ始めたとはいえ、日本の経験に鑑みれば、将来は必ずしも明るくない。

 とはいえ、そこは中国の強(したた)かなところで、日本経済の平成の失敗をしっかり研究しており、そのレベルは、かつてアメリカのシンクタンクが世界各国について行っていた分析に、まったくひけを取らない(ちなみに、アメリカは第2次世界大戦前に、対日研究の「War Plan Orange」というレポートをつくっているが、それにもひけを取らないと筆者は感じている)。

 よって、バブル退治と貿易面での対米譲歩等を理由に「失われた20年」に向かった日本の二の舞いを単純に踏むとは思えない。

 実際、中国は2000年代、

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筆者

酒井吉廣

酒井吉廣(さかい・よしひろ) 中部大学経営情報学部教授

1985年日本銀行入行。金融市場調節、大手行の海外拠点考査を担当の後、信用機構室調査役。2000年より米国野村証券シニア・エグゼクティブ・アドバイザー、日本政策投資銀行シニアエコノミスト。この間、2000年より米国AEI研究員、2002年よりCSIS非常勤研究員、2012年より青山学院大学院経済研究科講師、中国清華大学高級研究員。日米中の企業の顧問等も務める。ニューヨーク大学MBA、ボストン大学犯罪学修士。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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