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安倍首相が辞任 「普天間・辺野古」問題にかかわる11人目の宰相への提案

「縮小案」に沿って埋め立てを停止し数年以内の普天間返還の道筋を整える選択も

渡辺豪 ジャーナリスト

辺野古問題に「変化の兆し」か

 しかし、「ポスト安倍」がささやかれ始めた今年6月以降、自民党の中からもこんな声が聞かれるようになった。

 「設計変更が沖縄県に提出されていますが、今の県政はあらゆる手段をもって反対すると言っています。おそらく裁判になって国と沖縄が対立することが予測されます。しかも設計変更が認められたとしても、完成までにはさらに10年以上もかかる。巨額の予算と労力を投じて、今のように沖縄県と政府が対立したまま強引に造ってしまう形で本当にいいのか」(中谷元衆院議員)

 「問題は、軟弱地盤が判明し、約7万1千本もの杭を深い海底に打ちこむ必要がある大浦湾の埋め立てです。とてつもない時間と青天井のコストがかかる作業をこのまま進めていいものか」(長島昭久衆院議員)

 中谷氏は元防衛相、長島氏は民主党政権で防衛副大臣を務めた、いずれも安全保障政策通の政治家だ。両議員は6月に河野太郎防衛相がイージス・アショアの配備計画中止を発表したことをきっかけに「辺野古見直し」に言及したことから、筆者が「週刊AERA」誌上でインタビューや対談の司会を務めて本意を尋ねた。

 ここでは詳細は控えるが、両議員は予算や工期、県民感情を考慮に入れ、現状のまま辺野古で基地建設を進めることには懐疑的であるものの、「辺野古断念」にまでは踏み込んでいない。

 とはいえ、これは「変化の兆し」と取れなくもない。実際のところ、普天間・辺野古の問題が、これほど長期にわたって深刻な政治・社会的コストを払うはめになると予測した政治家や官僚は日米にいただろうか。

拡大沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場=2019年9月10日、朝日新聞社機から

解決の道筋を描けなかった10人の宰相

 関与した歴代政権は、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦、安倍晋三の各首相に及び、2度政権を担った安倍首相を差し引いても、じつに10人の宰相が政権交代をはさんでこの問題にかかわってきたが、解決の道筋を描けていない。米側も同様だ。

 日米の政策決定に携わる政治家や官僚が目まぐるしく変わる中、沖縄県民は20年余にわたって「普天間・辺野古」という政治課題に常に当事者として向き合ってきた。県民にとって切実なのは、基地問題をめぐって分断される理不尽の解消だ。その根本原因に目を向けようとする動きは、世代やイデオロギーを超えて深化している。

 そんな中、安倍政権は辺野古移設を普天間返還の「唯一の選択肢」と繰り返して工事を強行し、埋め立てにも着手した。

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筆者

渡辺豪

渡辺豪(わたなべ・つよし) ジャーナリスト

毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(沖縄タイムス)=第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞=、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(旬報社)=第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、新聞労連ジャーナリズム大賞・優秀賞=など。