メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

スウェーデンの新型コロナ対策の背後にあるもの

花田吉隆 元防衛大学校教授

集団免疫の考えに立った感染対策

 スウェーデンといえば、社会福祉が最も進んだ国であり、ゆりかごから墓場まで、国が生活のあらゆる面にわたり面倒を見るとのイメージが強い。そういうところで、感染防止についてだけ、国は面倒見ない、各自が自分の責任でやれ、というのも矛盾する気がするが、ことコロナ対策に関し、効果的なのは自己責任主義しかない、というのがスウェーデンの考えらしい。

 ところで、スウェーデンの感染対策が、基本的に集団免疫の考えに立っていることはよく知られる。集団免疫とは、集団の一定数が免疫を獲得した時、初めて感染が終息するとの考えであり、ワクチンができるまで、これが唯一の有効な手段だ、とする。ロックダウンは、一時的効果はあるが、人が動き出せばまた感染が広がってしまう。

 問題は、社会が集団免疫を獲得するまで犠牲を覚悟しなければならないことだ。現に、スウェーデンは多くの犠牲者を出している。高齢者を中心に死亡者が6000人以上に上る。スウェーデンは人口1000万の小国だから10万人当たりの死亡者数に直せば60人になる。これは近隣のノルウェーやフィンランドに比べ10倍も多い値だ。ロックダウンをしていれば被害は1/10に抑えられたかもしれず、集団免疫の致命的欠点がこの点にある。

 英国も、初め集団免疫を目指したが、ジョンソン首相自身が集中治療室に入り、また、感染拡大が止まらない中、そうも言っていられなくなった。結局、最後は国民が音を上げロックダウン導入に転換するしかなかった。

 集団免疫が効果を発揮するには、社会の一定数が免疫を獲得する必要がある。しかしそれには長い時間が必要だ。スウェーデンが春の第一波に襲われた時、免疫を獲得したのは国民の2割程度に過ぎず、それから半年以上経過した現在、この数値は相応の上昇はしていようが集団免疫になるにはほど遠い。それでも第一波がひとまず終息に向かったのは、社会的距離やテレワークの実践に加え国民の免疫獲得があったからだ、というのだが。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

花田吉隆の記事

もっと見る