メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

公明党は地方議員の声をどう聞いているのか~中央と地方統合の場・中央幹事会の実相

「政党」としての公明党~一学究の徒の政治学研究【4】

岡野裕元 一般財団法人行政管理研究センター研究員

デジタル化の進展で地方との交流の機会が増加

 次に、②全国政務調査会長会議等の明記、について見てみよう。

 これは、「政務調査会や女性局・青年局の活動をより重視する観点から、全国政務調査会長会議、全国女性局長会議、全国青年局長会議を党則上、明記します」とあり、党内の実態と合わせた改正といえよう(参照)。

 この点について、「党則改正について」では次のように解説されている。その一部を紹介する(自由民主党党改革実行本部「党則改正について」2022年3月14日、p.3-4)。

○デジタル化が進展し、より頻繁に、党本部と地方組織との情報交換ができるようになった。その一方で、一般の有権者が接する情報の質・量・速度も、飛躍的に向上している。

○こうした中で、党本部での政治・政策の動きを迅速に地方組織に伝えること、地方の声を迅速に党本部で吸い上げる必要性がこれまで以上に高まっている。

 たしかに、自民党内では、2020年からのコロナ禍を契機に、党内のデジタル化が進展し、地方組織・地方議員との交流の機会が増えている。

 たとえば、菅義偉総裁時代には「菅義偉総裁と都道府県連とのオンライン懇談」が複数回おこなわれた。世襲議員である安倍総裁と、地方議員出身である菅総裁の党内政治手法の違いが透けてみえるようで興味深い。具体的には、各地域ブロック単位で実施され、2020年10月25日から(自由民主党HP「地方と党本部がオンラインで直結菅総裁が北海道・東北6県とリモートで懇談」2020年10月25日、2022年4月10日閲覧)、総裁選投開票日(2021年9月29日)直前の2021年9月11日まで続けられた(自由民主党HP「菅義偉総裁と都道府県連とのオンライン懇談を開催」2021年9月11日、2022年4月10日閲覧)。

 懇談内容の概要を確認すると、新型コロナウイルスに関しても扱っている。なお、本稿の執筆時点(2022年4月27日現在)で、岸田文雄総裁が菅義偉総裁の活動を継続している様子は見当たらない。

 また、党内会議や議員教育(研修会)も頻繁にひらかれている。オンライン化の進展に伴い会場、時間、旅費交通費の障壁がなくなったことで、地方からもより参加しやすくなったと考えられる。

 たとえば、2020年7月7日には「全国から約200名のオンライン参加を得て、青年局初となる『全国青年部長・青年局長、学生部合同オンライン研修会』を開催し」、「初日は『ニッポンの重要課題』をテーマに、党本部青年局役員が農水・厚労・国交・文科の4分野について講義を行」っている(自由民主党青年局HP「全国青年部長・青年局長、学生部合同オンライン研修会を開催」2020年7月7日、2022年4月10日閲覧)。

 以上、自民党内の動向を概観した。自民党も公明党に遅ればせながらではあるが、地方議員をより重視する方に向かっているのは明らかである。こうした党内の一連の動向は、本連載「『政党』としての公明党~一学究の徒の政治学研究」で見てきたように、公明党が展開するレベルまでに達していないものの、今後どのように展開されるのか経過を観察する必要がある。

 ちなみに、各党内でのデジタル化、オンライン化の推進は、所属議員がその利便性を体感することで、デジタルやオンラインへの理解が広まる契機になる。今後、国会改革を進めるためにも必要不可欠であろう。前例踏襲主義の国会において、2022年3月23日にウクライナのゼレンスキー大統領が国会初のオンライン形式で演説(場所は、衆議院第一議員会館国際会議室及び多目的ホール)が可能になったのも、外交的な事情だけでなく、各党内でのデジタル化、オンライン化の進展も影響しているのではないだろうか。

自民党・総務会と公明党・中央幹事会を比較すると……

拡大公明党東京都本部=2021年7月17日、東京都新宿区南元町、朝日新聞社ヘリから

 さて、ここからは公明党の分析に入る。まずは、総務会(自民党)と中央幹事会(公明党)を比較したい。中央幹事会は、総務会と同様、公明党内の事前審査制の最終関門だからだ。

 「公明党は、『最高執行機関』を常任役員会と定めている。他方、議決機関については、全国大会に次ぐ最高の議決機関として中央幹事会を定めており(党規約第一九条)、当面する活動方針および重要政策等の議決や、各種選挙の候補者の公認および推薦等の承認を行う」(岡野裕元「公明党の立体的政策形成――「ヨコ」関係の軸となる国会議員・地方議員・事務局との協働ネットワーク――」奥健太郎・黒澤良[編著]『官邸主導と自民党政治――小泉政権の史的検証』吉田書店、2022年、p.458)。

 「中央幹事会のシステムが作られたのは、1998年の公明党の再結党時から」である(同書、p.458)。他方、自民党は、1955年の結党時点から、「総務会は議決機関、幹事長は執行機関、という党中央組織の役割分担が確定し」ている(小宮京『自由民主党の誕生 総裁公選と組織政党論』木鐸社、2010年、p.242)。

 総務会(自民党)と中央幹事会(公明党)を比較すると、構成員に決定的な差がある。

 自民党の総務会は、定員が25人(党則第37条)。党則上、党所属の衆議院議員の公選による者が11人、党所属の参議院議員の公選による者8人、総裁の指名による者6人という内訳となっている。議決も慣習的に全会一致であり、総務全員が国会議員で構成されている。

 これに対し、公明党の中央幹事会(定例で毎週木曜日の午前10時30分から党本部で開催)は、

・・・ログインして読む
(残り:約5104文字/本文:約9754文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

岡野裕元

岡野裕元(おかの・ひろもと) 一般財団法人行政管理研究センター研究員

1989年千葉県佐倉市出身。学習院大学法学部卒業。学習院大学大学院政治学研究科政治学専攻博士後期課程修了、博士(政治学)。現在、一般財団法人行政管理研究センター研究員のほか、報道番組の司会者の政治アドバイザーも務める。元青山学院大学文学部・学習院大学法学部非常勤講師。専門は、地方政治、政治学。著書に、『都道府県議会選挙の研究』(成文堂)、『官邸主導と自民党政治――小泉政権の史的検証』(共著、吉田書店)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

岡野裕元の記事

もっと見る