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「背に腹は代えられぬ」ドイツは原発の稼働延長を決定か

日本のエネルギー政策は?

花田吉隆 元防衛大学校教授

 ドイツでにわかに原発の稼働延長が議論され始めた。ロシアからのガス供給が止まるかもしれない。今冬に向けての対策は必須で、様々な議論がなされている。事情は日本も同じだ。最悪の事態にどう備えるか、国民を巻き込んだ議論が不可欠だ。

 ロシアは、ウクライナに実弾を投下すると同時に、欧州全域に「ガス供給途絶」という強力な爆弾を打ち込む。欧州は二つの戦線を戦い抜かねばならない。正念場は今年の冬。果たして、欧州は今冬を乗り切れるか。思えば、欧州はこの10年、立て続けに危機に見舞われてきた。2015年の難民危機、2019年からのパンデミック、そして今回のエネルギー危機。果たして今回、危機回避の努力は実を結ぶか。

裏目に出たロシアへの依存

 とりわけ危機はドイツで深刻だ。ガス供給の55.2%をロシアに依存する。ドイツの冬は厳しい。ガスを止められれば、即、命の危機にもつながりかねない。これまで、ドイツはエネルギーがよもや途絶することはないと考えていた。エネルギー供給は万全で、産業も家庭もそれを前提に行動してきた。その前提が一気に崩れた。

拡大Frame Stock Footage/Shutterstock.com

 ロシア依存を強めてきたことが裏目に出た。ロシアからエネルギーを安価に調達できたからこそ、ドイツの高成長があった。独露関係は安泰であり、供給が万が一にも途絶することなど考える必要もなかった。歴代政権はそう考え、何の懸念もなく対ロ依存を高めたが、そのガスの元栓を、今、ロシアが無慈悲にも閉めようとしている。

 1970年代初め、ロシアからのガス輸入は全輸入量の5%にも満たなかった。ブラント政権からシュミット政権を経てコール首相が登場する頃、その比率は40%程度まで上がった。ドイツは、ロシアからの供給に依存する経済構造を作り上げたのだ。その関係は、メルケル政権になり更に一段と加速する。原因は、原発廃止の決定だった。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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