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 震災から約5カ月がたった。依然として、事態は完全には収束していない。前回も書いたように、インターネット調査によれば、国民は科学者・技術者コミュニティーが今回の震災について十分な情報発信をしていないと感じ、同時に彼らの話を聞きたいと思っている。

 しかし、インターネット上だけでも学協会、学術団体、NPO、経済団体、シンクタンクなどが、「科学技術に関係する内容」を含んだ東日本大震災関連の提言や声明を35件も出しているという(科学技術振興機構研究開発戦略センター調べ)。ここでも情報の過多による混乱の危険性が生まれている。震災直後のとりわけ原発事故をめぐっては、各種の情報それも専門家による情報が錯綜し、混乱を引き起こした。情報の発信が容易になること自体は、必ずしも悪いことではないが、それが並置されたままでは使いようがない。誰もが夢想するのは、一元的で権威のある情報の確立であろう。しかし、これはもはや無理というべきなのかもしれない。

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筆者

小林傳司

小林傳司(こばやし・ただし) 小林傳司(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授)

【退任】大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授。専門は科学哲学、科学技術社会論。市民参加型テクノロジーアセスメントである「コンセンサス会議」を日本に紹介して実施した。2001年、科学技術社会論学会の設立に参加した。09年、地球温暖化をめぐる世界市民会議World Wide Viewsの日本代表を務める。※2012年3月末退任

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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