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【物理学賞】加速する宇宙論

須藤靖

須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学)

 10月4日、ノーベル物理学賞の発表があった。対象は「遠方の超新星の観測を通じた宇宙の加速膨張の発見」。私が、先週のWEBRONZAで予想した3件中の第2位がまさに「宇宙の加速膨張の発見」。受賞者も、ソール・パールムター、アダム・リース、ブライアン・シュミットの3氏としておいたので、まあ合格点を頂けるのではないかと思う。おそらく、彼らの業績については、新聞やインターネットでさまざまな解説を入手できると思うので、重複は避けておこう。もう少し詳しい説明に興味がおありなら、最後の文献を参考にして頂ければ幸いである。そうお断りしたうえで、以下では、宇宙の加速膨張の研究について私の個人的印象を書いてみたい。

 加速膨張という観測事実そのものに、どのような意味があるのかを理解するのは難しい。しかも、先週述べた通り、それには2つの解釈があり得る。万有引力ではなく万有斥力を及ぼすようなダーク(暗黒)エネルギーの存在を認めるか、あるいは重力法則を記述する一般相対論が宇宙スケールには適用できず修正が必要なのか、のいずれかである。そのどちらであるかは、まだ完全に結論することはできない。にもかかわらず、主流はダークエネルギー説であるのも先週述べた通り。

 さて、1998年の彼らの観測データが宇宙のダークエネルギーの存在を突然明らかにしたかのように言われることが多いが、それは必ずしも事実ではない。

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筆者

須藤靖

須藤靖(すとう・やすし) 東京大学教授(宇宙物理学)

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。1958年高知県安芸市生まれ。第22期・第23期日本学術会議会員。主な研究分野は観測的宇宙論と太陽系外惑星。著書に、『人生一般二相対論』(東京大学出版会)、『一般相対論入門』(日本評論社)、『この空のかなた』(亜紀書房)、『情けは宇宙のためならず』(毎日新聞社)、『不自然な宇宙』(講談社ブルーバックス)などがある。

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