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米国への留学生激減をどう受け止めるべきか

下條信輔 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授

日本から米国への留学生が、この10年でほぼ半減したという。90年代には国別で首位だったこともあるが、7位にまで下降。上位3カ国(中国、インド、韓国)の上昇ぶりとの差が目立つ。少子化を考慮したとしても、減り方が急すぎる。これをどう見るか。「若者の草食化」と一括 りにする論調が多い。
米国の国際教育研究所(IIE)の「Open Doors Data」より

 ハーバード大学への日本人留学生(学部レベル)も、ゼロに近い状況らしい。事態を問題視したのはむしろ同大の方で、東京まで留学生をリクルートに来たという。

 同大学長は、3000人以上の日本人留学生を教育した歴史を踏まえ、「日本の孤立化が進む危険な兆候」と発言。ワシントン・ポスト紙も歩調を合わせ、「日本の若者の草食化」と書いた。日本側メディアの論調も同様で、いわく日本の若い世代は内向き、後ろ向き、等々。日本の将来危うし、で一致した。

 米国留学経験者であり、現在米国内の大学に在職している筆者としては、無関心ではいられない。その筆者の最初の反応は、基本的に上と同じだった。「最近の若者はなんと野心の無いことか」と。だが統計資料を見るにつれ、一部印象が変わった。

 この2、30年の間に生じた変化は複雑であり、それを無視した「年寄りの繰り言」をまき散らさないようにしたい。そう考えるに至った根拠は、いろいろある。

 まず

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