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続・変わる高齢者医療-日本老年医学会「立場表明」を読み解く

高橋真理子 朝日新聞 科学コーディネーター

「立場―1」の「年齢による差別(エイジズム)に反対する」は、「いかなる要介護状態や認知症であっても、『最善の医療およびケア』を受ける権利がある」と続けた。興味深いのは、「したがって」、胃ろうを含む経管栄養などは「慎重に検討されるべきである」としたことである。

 従来の医療や介護の現場は、長生きが最善だった。だから、栄養がとれなくなれば躊躇なく人工栄養に切り替えた。それこそが倫理的な対応であるという建前があったからだ。だが、2012年版は、長生きが最善とは限らないと打ち出した。

 そして、「何らかの治療が、患者本人の尊厳を損なったり苦痛を増大させたりする可能性があるときには、治療の差し控えや治療からの撤退も選択肢として考慮する必要がある」と踏み込んだ。「差し控え」「撤退」という、これまではタブー視されてきた行為を前向きに取り上げたのである。朝日新聞は、この文言から「胃ろう、中止も選択肢」という見出しを取った。 

 「立場―2」から「立場―4」は、 ・・・ログインして読む
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筆者

高橋真理子

高橋真理子(たかはし・まりこ) 朝日新聞 科学コーディネーター

朝日新聞 科学コーディネーター。1979年朝日新聞入社、「科学朝日」編集部員や論説委員(科学技術、医療担当)、科学部次長、科学エディター(部長)などを務める。著書に『重力波 発見!』『最新 子宮頸がん予防――ワクチンと検診の正しい受け方』、共著書に『村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?』『独創技術たちの苦闘』『生かされなかった教訓-巨大地震が原発を襲った』など、訳書に『ノーベル賞を獲った男』(共訳)、『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』。

 

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