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パニック状態の人間にできることは、限られている。情動的で反射的な行動だけだ。もしとっさに最善の安全対策をとって欲しいなら、反射的な行動が即、最適な対応になるほどまでに習熟していなければならない。体に染みついていて、パニックに陥ったとき反射的に「してしまう」。それほどの実地訓練が必要、ということだ。

 料理とは事柄の重要さが比較にならない。原発事故では国の命運がかかっているから、簡単に投げ出さない、と言う人もあろう。そういう人は、まだ本質が理解できていない。国の命運などという重圧は、すでに合理的な思考ができない状態に、むしろ拍車をかける。私たちのヒトfMRI(脳機能イメージング)の研究でも、人は結果が重大であるほど重圧を受け、本来の能力を発揮できないことが示されている。またこの傾向は、損失を恐れる人ほど強い。

 パニックなど興奮状態で、動物やヒトはどう振る舞うか。

 天才的な社会心理学者 R. B. ザイアンスによる「 優位反応 (ドミナント・レスポンス )」という考えが参考になる。「優位」といっても優れたという意味ではない。その種に特有の、生得的に優位な行動ということだ。

 ザイアンスは

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筆者

下條信輔

下條信輔(しもじょう・しんすけ) 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授

カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授。認知神経科学者として日米をまたにかけて活躍する。1978年東大文学部心理学科卒、マサチューセッツ工科大学でPh.D.取得。東大教養学部助教授などを経て98年から現職。著書に『サブリミナル・インパクト』(ちくま新書)『〈意識〉とは何だろうか』(講談社現代新書)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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