2012年04月02日
現代社会は、コンピューターシステムなしには動かなくなっているが、そのコンピューターを動かすソフトウエアの品質には問題があるといわざるをえない。
ソフトウエアシステムの品質の良し悪しを決定するのは、それを構築するソフトウエア技術者である。産業界は、大学で情報系の専門教育を受けた卒業生に対し、即戦力として高い期待をかける。しかしながら、数年前から産業界の方々から「大学の情報系の教育は産業界では役に立たない」、「情報系の卒業生は、それ以外の学科の卒業生と差が無い」、「他国の卒業生の方が優秀である」といったお叱りを受けている。
一方で、国内よりも海外のほうがソフトウエアシステムを低コストで構築できるため、オフショア(海外での)開発が加速し、すでに技術の空洞化が始まっている。このままの状況が続くと、いずれ我が国のソフトウエア技術をけん引していく人材も枯渇していく可能性がある。ソフトウエアシステムは「もの」である。ものづくり立国としての日本の将来を鑑みると、暗澹たる気持ちになるのは私だけではないだろう。
これまで、大学側も省庁のサポートの下、産業界から実務経験が豊富な講師を派遣してもらったり、実際の問題に基づいた教材を提供してもらうなど、多くの協力を得ながら専門教育の高度化にさまざまな努力をしてきた。専門コースを新設した大学もある。しかし、まだ対策は十分とはいえない。
もう一歩進めるために、筆者は「産学が集うソフトウエア道場の設立」を提言したい。
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